2016年3月27日日曜日

少し気が抜けつつ

四段の課題を登ったからと言って、

急に四段の実力が身につくとか、

そういうことにはならない。

やはりいまだに

三段の課題はほとんど登れないし、

二段の課題は登れるかは五分五分といったところ。

初段の課題が登れないこともたびたびある。


相変わらず僕は僕なりの強さと弱さを抱えながらクライミングを続けている。



今日は宮川へ。


主目的は、

「次の目標となる課題を見つけること」

ということで、

アームストロング(四段)と
炎帝(四段)

を触り、今の自分にとってどの程度可能性を感じるか探ってみることに。


まあ、

これについては

「ほとんど希望を感じなかった」

ということで結論付いた。今のところは。


とはいえ今日は、

今まで普段あまり一緒に岩に行っていなかった人たちと一緒に岩を廻れたということが楽しかった。それが焦点だったな。


まず始めにやったのは

鉈(二段)

これはもともと「スタート時別の岩を踏んでも良い」という微妙な条件のもと初段とされていた課題だが、

最近その条件が無くなり、グレードも二段に上がり、課題としてしっかりとした魅力を取り戻したことで再注目されてきている課題だ。


まあ、悪かった。


ホールドはそこそこ良いカチ(痛い)だが、スタンスとなるホールドの位置と形状がどうにももどかしいバランスで配置されており、
完璧にしっくりくるムーブを固めきることが難しかった。

ひょっとしたら探り続ければぴたっとハマるムーブがあったのかもしれないが、
やりすぎていると指皮が先にイカれてしまうと思い。多少強引にパワーとデッドの精度に頼って押し切った。



難しさとしては二段の真ん中くらいなのかな?特に簡単すぎるとも難しすぎるとも思わなかったし。



次に登ったのは、悪名高き

店長初段(初段)

チャンドラ(二段)のある岩の隣の岩にある課題だが

「明らかにチャンドラより悪い」と噂の課題。

その下馬評に違わず、悪い。
正直、鉈よりも悪く感じた。

核心の左手デッドがなにせ悪くて痛くて。

三段クライマーズと共にセッションしていたけど自分含めみんなそこにはじきかえされまくっていた。


↓店長核心に臨む三段クライマーズ





(ブレまくっているのは仕様です)

本気で敗退すると思った。
「これで最後のトライにしよう」としたトライでなんとか落とせた。


矜持、というほど大層なものじゃないが、
意地、みたいなものは少し身についてきたのかもしれない。




今日思ったのは、

二段だろうが初段だろうが登れたら嬉しいし、

グレード関係なく難しいものは難しいってこと。

最近は最高グレード更新に躍起になっていたけど、

それ以外の取り組みも、やっぱり楽しい。

2016年3月11日金曜日

Happy birthday to me

本日

2016年3月11日は、

僕の29回目の誕生日だった。

これくらいの歳になるともう「誕生日」というのは特に何か祝い事をするような日でもなく、

何人かの親しい間柄の人に

「おめでとう」と言われ「ありがとう」と返す、

挨拶の言葉が少し延長されるというだけの、

その他にはいつもの一日となんら変わりない日である。


はずだったのだけれど。





まさかこの

29歳の誕生日が、




四段クライマーとしての自分が誕生する日になるとは思わなかった。





以前、

ファイアを落として以来

ずっと通いつめ、打ち込み続けていた

ボブ(四段)

数えてみれば、今日で打ち込み始めてから延べ6日目だった。

これは長く掛かりすぎたと言えるのだろうか。
それともこの程度の期間で済んだと言えるのだろうか。

どちらとも言えるし、どちらとも言えない中途半端な期間だ。


初めて触ったときは、ホールドの細かさと手数の多さに気が遠くなった。

でも、とにかくやってみようと取り組み始めると、なんとか1日でムーブを半分ほどバラせた。

この時点では半信半疑以前だったけど、

出来そうだとか、出来なそうだとか、そういったことは考えずに打ち込むことに決めた。

2日目でムーブをバラすことには成功した。
慣れてくると、箇所箇所には「四段の強烈な一手」というのは見当たらなかった。
初段~二段相当の難度のムーブが延々と続くといった感じ。


そこからが長かった。


1箇所のムーブは難しくない。

前半と後半の二分割にバラせば出来る。

でもスタートから繋げようとすると必ずどこかで落ちる。

おまけに、一度打つだけで指とフィジカル(特に指皮)に強烈な負荷がかかり
一日でまともにトライできる回数は限られる。


出来そうで出来ない。

出来なさそうだけど出来そう。

でも、

やはり出来ない。

そんな感じの日々が続いた。


あまりに出来ないので、少しこの課題にうんざりする気持ちも芽生えてきた。




開き直ることにした。


出来るとか出来ないとかは関係ない。


「とにかく、やり続けよう」


そうしたらいつか何かの拍子に出来てしまう時が来るかもしれない。



その時が、たまたま今日だった。


何故今日だったのかはよくわからない。


たぶん、本当に「たまたま」今日だったんだと思う。


わからないけど、とにかく出来た。


偶然でもなんでも、登ることができた。

自信になった。


まあでも当たり前に、ここはまだ通過点。



今度は確信を持って、四段を落とせるように。

たまたまでもいいから、五段を落とせるように。


明日からまた、頑張ろう、新しい自分。

2016年3月9日水曜日

気分転換

ここ1ヶ月ほど、

僕が何をしてきたかと言うと、ただただ、

敗北にまみれていた

というより他ない。


四段の課題を登る、ということに照準を絞り、

高難度の課題に打ち込んではいたが、

とにもかくにも敗退を繰り返しつづけた。

例えば三重の「ボブ」に
例えば徳島の「八雲」に
例えば宮川の「炎帝」に

ボコボコと打ちのめされまくっていた。


敗退こそが自分のモチベーション、と信じてはいたが、

さすがに少し気も滅入ってくる。

なんとなく実際に身体のキレも落ちてきているように感じる。


今日は少し気分を変えて、普段あまり行かない豊田へ。

性懲りもなく、敗退覚悟で

オメガング(四段)

を触るつもりだったけど、

前日の雨でビッショビショでとても触れるようなコンディションじゃなかった。

仕方なく近くの

AKIRA(三段)

を触ったりもしたけどやはり敗退。

その隣の

ダイヤモンドスラブ(1級)

も触ったけど……うん…まあ………察してください。あれは、ね。

日中はかなり暖かく、風もそこそこ吹いていたので、他の岩もそろそろ渇いているだろうと、

夕方近くに他の岩に移動。

巴川エリアに行き

きりきり舞い(二段)

を登る。



苦手意識を持っているランジだったけど、

意外にあっさりいけた。

なんだろう。

決して不調というわけじゃないってことなんだろうか。

わーー!っと力入れてガーー!っとランジ止めて、気持ちよくマントル返せた。

久々の完登。


なんというか、とても良い気分転換になった。

自分を追い込んでうんうん唸りながら挑戦と敗退を繰り返し続けるというのは、自分の性に合っているし、そういう取り組みをしようと意図的にやってきたけど、

こういう風に、面白い課題を楽しく登って嬉しがる。

そういうのもやっぱり、たまには必要なんだろうな。


さて、じゃあまた次から、敗退を積み重ねる作業に戻ろう。

敗退を積んで積んで積み重ね続ければ、それが良い具合に踏み台になって、成功に手が届くかもしれない。

2016年2月6日土曜日

素泊まり3500円の宿があんなに当たりだとは思わなかった

一泊二日、岩旅行!



2/4~2/5で行ってきた、という話を今回はするわけだけれど、

それを昨日ではなくて今日(2/6)になってするのには理由がある。


「あー、疲れたー」

と昨日帰宅したのが大体夜9時半。

部屋のドアを開けて電気のスイッチを押すと、

なんと

電気が点かない。

そう

電気が止められていたのだ。


電気料金払い忘れ。

アホかと。

仕方なく、とりあえずコンビニに走り料金払い、近所の銭湯行って、再度帰宅後真っ暗な部屋で何もせず就寝。



まあそんな話はどうでもいいんですよ(半ギレ)



今回行ってきたのは、

四国は

立川渓谷

知らんわ!

ドコのマイナーエリアだ!

と思われるかもしれないが、『日本ボルダリングエリア(下)』にも載っているれっきとした公開エリア。


アプローチ距離は比較的短いが、エリアに行くには渡渉する必要があり、そこが厄介と言えば厄介。

このときばかりはいつも僕を助けてくれるクラッシュパッド(まとめ重量約10kg)が恨めしい。


初日、はじめに打ったのは

プラネテス(四段)

なかなかのハイボールで、威圧感ある岩。

パッと見、下部は簡単そう。

その見た目どおり、とっつき易い感じだった。

リップに飛びつく箇所とマントルが核心のようだが、

結構長い時間打ち込んだけれどランジに持ち込むことは出来なかった。

まあランジ一歩手前までは行けたし、次に行ったときには核心ムーブを味わうことくらいは出来そう、かな?

この辺までは結構易しいのよこれが。


良い感じにヨレてきて、時間もなくなってきたので敗退。

次にエリアを少し移動して

狂言師(二段)



旅人(三段)

を打って両方とも敗退。

旅人のほうはムーブ難解すぎてどうにも手も足も出ず。一体何をするのが正解なのか糸口すらつかめずって感じ。

狂言師はちょっとパワー不足を感じた。初手ランジで、それが核心かと思ったら止めた後のパワームーブで疲れた体にトドメを刺された感じ。ヨレてない時にやれば登れるんかな?


ここで1日目終了。

登れた課題は見事にゼロ!


宿に行き、熱い風呂に浸かり、街へ出て美味いメシを食い、アミノ酸飲んで、手にハンドクリーム塗りたくって就寝!



そして2日目



体痛っ!!


背中ばっきばきだし、指皮ビリッビリだし。

「これ今日登れんの?」

って状態。

それでも岩場に行って気合入れればなんとか体は動くには動く。

2日目は初日とちょっと方針を変え、いろんな課題を沢山触ることに。


まず

森のカンテ(1級)

でアップ。

結構ホールドガビガビしててカチ系で、アップには不向きだっかたもしれないが、やってるうちにムリヤリ指の感覚が起きてきて、むしろ良かったのかな?
結局3回くらい打ったけどまあ登れた。

続いて、その森のカンテのSDである

超回復(初段)

をやる。

スタートから森のカンテのスタートに至るまでにまた2回くらい落ちたけどなんとか完登。


うーん、やっぱりジワジワ系だから、2本登ったもののまだ完全に体が起きてはいないなあ。

ということで、お次は

ピエドラ(1級)

の岩に。

結果的にはこの課題は1撃出来たけど、結構ハイボールで上部で迷子になったりしてスリリングだった。
またやりたいとは思わないけど、うん、かなり良課題だと思う。

そして同じ岩の

パルマ(初段)

も登った。

パスル的要素というか、ムーブ系で、足位置とか手足と体幹の位置関係とかで決まる感じの課題。
まあ得意系だったのかな。
下部のムーブを探ろうとスタートに付いたらそのまま完登できてしまったので動画は無し。

このあたりでもう体のスイッチは完全にONにできてたような気がする。

そこで、

言霊(二段)

のある岩に。

この課題は一応このエリアを代表とする課題のひとつのようなので、とりあえずその日のメイン目的の一つだった。

オブザベする限りではかなり得意系っぽかったし、なんか簡単そうだったので1撃狙ってみたけど、リップ取りで失敗。

開き直って何度か安定したリップの取り方を探って、いい感じのコツを見つけてから気合入れてトライしなおしたら登れた。


まあさすがに1撃狙いってのはナメ過ぎてた、というか自分の能力を過信しすぎてたかな。

次に同じ岩にある

朝立彦(二段)

も触ってみたけど、なんか上手くいかない。
言霊を短い時間で連続して打ったからカチ系の部分が一時的にちょっとヨレてたのかもしれない。
それか単にムーブが出来てなかったのか。
まあいずれにせよこの課題はタイムアップで敗退。

おまけで、同じ岩にある

大谷ハング(1級)

を怒りの1撃して、次の岩へ。

次は

ジャバウォック(三段)

川際スレスレのきわどい下地、ハイボール、スラブ。

かなりメンタルに訴えかけてくる課題だったけど、

打ち込んでいる内にイロイロとマヒしてきて、徐々に高度も上がっていったけども、やはり敗退。
これを落とすにはもうちょっと「何か」が必要な気がするな。

登れないまでもただ打ち込むだけでも楽しい課題だった。
岩ならではのスリルというかリスクというか、やっぱりそういうのも醍醐味の一つ。


結構ジャバウォックで時間を使い、夕方近くなってきたので、

近くの岩の簡単な課題を登りまくってから帰ることに。

「猪岩」

という岩に

骨(5級)
猪(2級)
津田課題(2級)
澤井課題(4級)
猪突クラック(3級)

という課題があったので

「全部1撃してやろう!」

と試みる。

結果、猪突マントルで2回落ちたため試みは失敗。でもこういうのも楽しかった。

仕上げに、

ペタ岩という岩の

ペタマントル(2級)

を1撃して終了。



いやー、

疲れた!

疲れたし、楽しかった!

行程としても

1日目は登れないくらいの難しい課題に打ち込んで、
2日目は簡単な課題沢山登る、

って感じで、それぞれ違う経験値積めてよかったのかな。


まあとにかく体を苛めることはできたのは確か。
これを書いている現在、まだ背中が痛い。

この背中の痛みが次の成果に繋がるといいんだけどなあ。

2016年1月29日金曜日

ひつまぶし


あ、今日は岩に行った話じゃないです。


本当は岩に行く予定だったんだけど、久々の雨天中止。

まあ連日連登で指皮ズタズタだったので、治療日としようじゃないか。


しかし暇なので、暇つぶしに何か書こうかと。



YouTubeに自分の完登動画を結構上げてるんですが、その数が前回上げた動画で77本目に達したようなんですよ。

77本って結構な数ですわ。

振り返って見てみれば、まあちょっとした軌跡、ささいな歴史くらいにはなっているのかな。

面白かった課題
くだらなかった課題
難しかった課題
簡単だった課題

いろんな課題があった。


ということで、

自分が登った中で『良課題』と思った課題を、グレード別に動画と共にランキング形式で並べてみよう!

という試みをしてみようかと。



ではまず


初段部門


3位

あめご/宮川


決して難しい課題というわけではない。
しかし簡単な課題でもない。まさに初段、といった課題だった。
比較的すぐに登れたので、普通、深く印象に残るはずはないはずだが、岩の前に立ってオブザベーションをしている時に、「なんて綺麗な課題なんだ」と思ったことは覚えている。
人為的にホールドが設置されたんじゃないかと思えるくらい綺麗に、「ちょうど初段くらいにしよう」って感じのホールドが続いている。
全体的には3級くらいだけど、核心の1手だけがやけに難しいから初段になっている、とかそんな感じの課題は岩には結構多いけど、この課題はそういうんじゃなく、スタートからリップまで非常に難易度バランスがとれている。
「整然とした初段」だと感じる。



2位

モスランジ/戸河内


ランジ核心!
見た目ではそう見えるが、実際に登ってみるとその一言では片付けられない。
むしろスタートからランジの手前まで繋げるカチパートにこの課題の面白みが詰まっている。
ランジだけ止めようと思えば比較的簡単に止まるだろう。下部だけこなそうと思えばそれも出来るだろう。しかしジワジワとした下部を繋げて来た後にランジをしようとすると跳び方が変わってくる。そこが面白い。
細かなホールドを握りしめる「静」の動き、内側に絞る動きを続ける。核心で大きな「動」の動き、外側に開放する動きに繋げる。その切り替えが難しい。
見た目の派手さと、その派手さに反する繊細さも含んでいるそのギャップが面白い。



1位

夏の日/フクベ


地面からリップまでの距離は短い。
この距離にここまで内容が詰められるもんなのか。
どうやってもズルして抜けられない。
きっちり丁寧にムーブをこなさなければいけない。
保持力、足置きの丁寧さ、フック系の技量、体幹力、ランジの瞬発力。どれも必要。
上手いだけじゃ登れないし、強いだけでも登れないだろう。
低い岩で試される力と技。これぞボルダリングって感じの課題。
(厳密にはこれは「初段+」らしい。なのでこの初段部門に入れるのはズルいのかもしれないが、まあそんな細かいことはいいじゃん)





二段部門


3位

ハリガネムシ/ミタライ


正直、あまり得意なタイプではない。
体を大きく傾けてヒールトウをかまし、ピンチを思いっきり握り締め、大きく跳ぶ。
ダイナミックな課題。
見ているだけでその難しさは伝わってくる分かり易い課題だと思う。
しかしやはりホールディングの仕方次第で細かい姿勢の違いや、それによるランジの成功率に差が出てくるなど、岩ならではの繊細さを確かに含んでもいた。
自分にとってあまり得意ではないタイプの課題だからこそ、登れた時はうれしかったというのもある。


2位

スーパーラビット/豊田



ハリガネムシとは逆に、どうにも難しさが伝わり辛い課題だと思う。
岩は低いし、スタートも難しい。しかもこの課題のあるエリアにはほかに有名な課題が沢山ある。
なかなかこの課題に打ち込もうという気になる人は多くないかもしれない。
ただこの低い岩の短い課題には、短いなりの難しさが詰まっている。1手1手の強度は他の二段の課題を凌ぐ強さを持っている。
あとこの課題は、初めて豊田に泊りがけで行って複数日かけてやっとこさ落としたという、思い出補正もある。


1位

ゴンザレス/三重の岩場


高い岩を一番低い所から一番高い所までガーっと登っていく、登っていても見ていても面白い課題。
手数も多めだが、その1手1手すべてが難しい。
これだけのスケールの大きさなのに密度も高い。
文句のつけようも無く面白い。
絶対にフロックでは登れない。ただの「二段(の課題登ったことある)クライマー」には間違いなく登れない。この課題を登れたらそれは「二段(の実力のある)クライマー」と言っていいだろうと思う。



三段部門


3位

カツオノエボシ/三重の岩場


高い岩。見た目の威圧感は随一だと思う。
ホールドはどれも握れるが、どれもそれだけではなぜか持てない。
ムーブの選択肢は広いが、やはりどのムーブで行ったとしても難しさはある。
この課題において重要なのは「強さ」だと始めは思っていた。次にやはり「上手さ」が一番重要だと思いなおした。でも一番重要なのは「洞察力」だった。本物でもありフェイクでもあるホールドがいたるところについている。自分にとっての本物のホールドが見つけられないと、ハンパな強さと上手さのクライマーではドツボにはまり続けるだろう。まあ、ハンパじゃない強さのクライマーであれば、どうやったって登れてしまうんだろうけど。


2位

幻の光/小川山


記念すべき、初めての三段。
まだクライミングを始めたばかりのころ、初めてこの岩を見たとき、
「どんなにクライミングが強くなったとしてもこの岩を登れる時は来ないだろう」
と思っていた。
どんなに傾斜がキツくなっても、どんなに1手の強度が強くなっても、そこにホールドがあるのなら、保持力を鍛えさえすればいつかは登れるだろうと思っていたが、この岩には、この課題には
「そもそもホールドがないじゃん・・・」という絶望しかなかった。
この課題を落とせる人っていうのはこの課題を落とすために何か特殊な訓練を積んだ人なんだろうな、とそのときは思っていた。
でも結局はこれが自分の登った初めての三段になった。
実際、保持力が強いだけのクライマーではこの課題は登れないだろうと思う。カチで片手懸垂10回出来てもこの課題は登れないだろうし、でも普通の両手懸垂15回くらいが限界って人でも練習すれば登れるだろう。
この課題を登るのに重要なのは自分を鍛えるということ以上に、岩を『解く』ことだと思う。


1位

ファイア/三重の岩場


文句のつけようも無く、自分の中のベストオブ課題。
約130度の綺麗な面にちりばめられたカチをつないでいく。
ランジはそれだけでは特に難しくは無いが、下から繋げて来ると取りに行くホールドがやけに遠く感じる。
かなり自分にとって相性のいい課題だったと思う。
それにも拘らず今まで登ったどの課題よりも難しく感じた。今まで登ったどの課題より苦しめられた。ということはそれだけこの課題が難しい課題だったということだと思う。
日本の段級グレードをVグレードに換算すると、「三段」は「V10~11」に相当するわけだけど、今まで自分が登ってきた三段はV10で、この課題はV11なんだろうと思った。






まあこんな感じ。

あくまで完全に主観です。

スキキライとか、思い出補正とか入りまくってるので、実際に客観的に見たら異論なんて山ほど出てくるランキングだけども、とにかく僕はこう『思っている』


2016年1月19日火曜日

凍てついた炎

本日、本来僕は四国に行っているはずだった。

徳島に点在する非公開エリアを、

案内してもらいながら巡るつもりだった。

しかし、

前日の降雨と、当日の予報は極寒の気温に、降雪。

これは、

行ってもまずロクに登れないだろう、ということになり、

じゃあ、場所を変更するか、ともなったけれども、

やはりどこも同じような予報。

リスクはどこにでもある。

仕方なく予定はリセットとなった。


残念。





と、



話はこれで終わりではない。


この、予定リセット後、僕はもう一度天気予報をチェックした。

四国のではない。

三重のだ。


そう


ファイア


それが頭の中にあった。


予報によると曇り時々雪。前日にも雨は降っている。

コンディションには期待はできない。
登れるとは思わない。

でも、

ホールドが濡れてたらふけばいいし、

雪が降ってたら、
冷たい風が吹いていたら、それは自分が我慢すればいいだけの話。

ムーブの練習くらいはできるだろう。
何もしないよりは、少なくとも次回に行ったときのための糧は得られる。

という、希望とまではいかないが、ささやかな期待。

高い交通費と長い移動時間を対価に、それっぽっちのものが、
「ひょっとしたら得られるかもしれない」


うん。


充分釣り合っている。


行くことにした。

一人で。



朝、

道中が吹雪だった時には、

「ああ、こりゃ無理かな」

と半ば諦めかけていたけど、

エリアについてみたら、岩のコンディションは思いのほか良かった。

雪は若干パラついていたけど、少なくともホールドは殆ど渇いていると言っていい。



「ひょっとしたらこれは、今日落とすこともできるかもしれないな」


と思い始めた。


ダウンを脱いだ瞬間ガタガタ震えるハメになるし、

ホールドは氷のように冷たくて指はすぐにかじかむ。

そのあたりは確かに問題だ。

でも、

結局はそれは「自分の問題」だ。

前にも言ったことがあるかもしれないが、

環境のコンディションはどうにもできないが、

自分のコンディションはどうにでもできる。


一人で林の中を走り回ったりして(今思うと不審者だなこれ)
身体を冷やさないように工夫したりしてなんとか打ち込み続けた。













結果。










登れてしまった。


正直、登れるとは思わなかった。




この、

ファイアという課題。

これは自分のクライミング歴の中で、

間違いなく最も難しく
間違いなく最も打ち込み
そして
間違いなく最も好きになった課題だ。


三段の課題、っていうのは今までも何本か登ってはきた。

でもこの課題はそれらとは一線を画す難しさであると感じたし、

それもあって、この課題を登れた時の感動は、今までのどの課題を登った時よりも大きかった。

いや、大きい。(今まだ現在進行形で感動してる)


この課題に打ち込んでいる時、僕の中にはある感情があった。

「僕はこの課題を落とさない限り、どこにもいけないし何者にもなれないだろう」


落とせないまま放っておいてしまった課題なんかいくらでもある。

そのままホールドが崩壊してしまってもう二度とできなくなった課題もある。

でも、

そんなものは、ただ「残念」のひとことで片付けられた。

でも、このファイアという課題についてはそういう風にはどうしても思えそうになかった。

この課題を落とす前に、仮に四段の課題を落としたとしよう。

でも僕はきっと納得しなかっただろうと思う。

実際に今の倍くらい強くなったとしよう。

でもこの課題を落としていなければ僕は「強くなった」と言えなかったろうと思う。


なんというか、そう。

この課題は僕のクライミング史の中で一つのターニングポイントとなる課題だと思う。

特別な課題だと思う。

実際は特別も非特別もなく、ただの、ひとつの課題だ。

でも僕にとっては、僕の心にとってはやはり特別であることは間違いない。

多分誰にもこの微妙な感覚は伝わらないと思う。でも僕だけはとりあえずそう思っている。




さあ、

じゃあ次だ。

ファイアを落とすことができた。
四段に挑戦できる実力を身につけたと、実感できた。

そろそろ四段の課題を落とそうか。

2016年1月11日月曜日

最高のモチベーション

人それぞれ、

何が自分にとって強いモチベーションとなり得るか、

それは異なると思う。



僕は今日、

1/5のファイアの敗退が忘れられず、

独りでまた三重まで行って来た。


結果は











またしても敗退。




前回であらかたムーブを出し尽くしたと思っていたが、

まだまだ細かい箇所のツメが甘かった。

改善すべきポイントがいくつもあった。



悔しい。

とても悔しい。

誰も居ない岩場で、一人で何度叫んだか解らない。


それでも不思議なことに、

楽しかった。

とても楽しかった。

そして不思議な充足感がある。


どうやら、僕にとっては

「悔しい」

というのが最高のモチベーションらしい。

今、ものすごくヤル気に満ちている。

僕は今、挑戦の途上にいる。

その状況のなんと心地良いことか。


今回の敗退も、ただの敗退ではなかった。

前述したとおり、まだまだ改善すべきポイントがいくつもあったのだ。

それを発見できた。

1手目の安定感は増してきたし、
2手目を取りに行く際の足の注意点も明確にできた。
3手目を取りに行く前に右手を調整し直すことができることに気付き、安定化した。
何より重要なのは、
確率と気合に頼っていた核心の足送りの箇所の右手の有効なホールディングを発見したことと、
そこでの微妙な加重移動のニュアンスを理論的に成文化して明確に捉えることができるようになったことだ。

この状態から

こう右足を送るのが核心なわけだが、この時点ではまだ無理矢理力で持っていってた。

この写真の時のトライが繋げでは一番進んだが、この右足をスタンスに届かせた時点でスリップ落ち。

後に効率的な動きを把握し、ここだけでバラしてなら多少ヨレてても安定して行けるようになった。

しかしその時にはヨレて下部がこなせなくなっていた。



確実に、前回よりは進んでいる。

次回は行ける気がする。

次回行けなくても、その次、その次の次はもっと良くなる。

行ける気しかしない。

つーか、絶対登る。


次回は1/16に行く予定。

絶対、という気持ちで臨む。

(その前に1/14にも鳳来に行くんだったな。今月は後にも19日22日26日29日と岩に行く予定。改めて並べるとやばいなこのスケジュール)