2014年11月19日水曜日

最大限のためにまず最低限をこなせ

指皮が治らない。

治癒に充てる時間<痛めつける頻度

なのだから当然のことではある。

大丈夫、

僕にはアレがついてる。

そう、

テーピングという切り札が。



ということで、

今日は

宮川

に行ってきました。

初の宮川です。

GiaNizm4を観た時から気になっていたエリアだったので、ワクワク感はかなり大きかった。



現地に着いてまず初めにとりついた課題は

「あめご(初段)」

自然に作られたとは思えないほど、絶妙な位置に絶妙なホールドが配置されており、そのホールドに導かれるままに手を進めていく。



これぞ初段の課題といった強度、ムーブ、緊張感、ラインの整然さ。
登る価値の高い課題だと思う。


次に取り組むは

「チャンドラ(二段)」

二段にしては易しめである、とか、初めての二段にこの課題を選ぶ人が多い、だとか言われていたりもするが、それでも(それ故に?)エリアを代表する人気課題の一つであることは確かだ。

ホールドを確認すると、確かに極端に悪いホールドは無く、ムーブも起こしやすそうではある。

しかしいざとりついてみると、3手目(実質2手目)の、右手クロスで取るカチの握りがイマイチしっくりこない。
素直なカチという形状でなく、スロット状の形状に指をねじ込むという感じだが、そこにどうも人差し指と中指がうまく入りきらない、入ってもしっくりこない。


そこでハマりかける。


その一因としては指がこんな

状態だったというのも勿論あるだろう。

まあしかし現状「こう」なのだから、それで勝負するしかない。

色々握り方を試行していき、最終的には、敢えて人差し指・中指を浅くして、薬指と小指を深く刺して外から内に絞り込むような力の入れ方をする、というような握りにすることで上手く決まった。

そこを越えればあとは最後の単純なランジをこなすだけ。

サクっと落としてやるぜ!

と繋げに入るものの、なんと最後のランジで落下。

その際マット外に尻餅をつき、軽く打撲に。

相変わらずの自分の詰めの甘さが招いた痛みに憤りを感じながらもそれを抑えキチンとレストをはさみ、落ち着いてトライ。



登れました。


こんな状態でもこの短時間で登れた、ということはやはりこれは難しい二段とは言えないかもしれない、が、初段と呼ぶには難しいとも思う。
そうするとやはり二段で適正なのではないかと思う。
「あめご」よりは難しく感じた。



次!


「マッハランジ(初段)」

いわゆる一手もの。
こういう課題には苦手意識を持っていたけど、何度か跳んでみると意外に好感触。


カメラをセットし、服を脱ぎ、気合を入れて。




やっぱり脱ぐとランジは止まりますね(確信)
こういう課題はあまり深く考えずに気合とノリで押し切るのもいいのかもしれない。


その後は

「キングジョー(三段)」
の圧倒的なカチの悪さと距離に痛めつけられ、

「ショートケーキ(三段)」
の謎めいた1手目に翻弄され、

「でっちようかん(二段)」
のツルツルマントルに恐れおののき、

「チーズケーキ(初段)」
のスタートカチロックに指と身体が耐え切れなくなっていることに気付き

終了。



いやー


面白かった。

面白かったけども、やはりもったいないと思うのは自分の体力の無さ。

岩場に着いてから帰るまで、ぶっつづけで最後まで岩を楽しみきる体力に欠ける。

やはりもっと普段からジムでの登り込みをしたい。

2014年11月11日火曜日

細く折れるような研ぎ方でも、先を丸めるような研ぎ方でもいけない

正直、今日はさすがに岩に行くのは止めておこうかと、実は思っていた。

この間の三重で指の皮がズタズタに引き裂かれ、左右の手の主要な指(中指と人差し指)はテーピングを巻かなければロクにホールドも握れない、特に右中指の傷は未だ生傷のままで、少し力を入れて握りこむとキツくテーピングをしていても血が滲んでくるような状態。

しかし、

そんな状態でも、いや、そんな状態だからこそ出来ることもある。

ということで今日は易しめの課題を中心に色々登ることと、次に狙う課題の下見をすることとした。


次に狙う課題というのは

「岩魚(三段)」

核心部の下地が悪い恐怖系であり、右手の繊細かつ強力なホールディングを求められる課題。
なので今日は核心はとりあえず置いておいて、核心後の数手+マントルの返しかたを練習しておいた。
これでいざキチンと落とそうっていう時に無駄に上部で焦らずにすむはず。


それから、

今日落とした課題たち。

まずは

「パタゴン(1級)」

割と顕著なホールドがいくつかあって、一定の保持力と体幹の強さがあれば特に苦労する点は無いが、カチや腹筋に自信が無い人にとってはリップ止めにかなり勇気が要るだろうと思う。

『11/14追記:どうやらこの課題には限定があるようで、僕が登った際に使ったホールドはその限定にひっかかるとのこと(初見でそんなん解らんわ!あんなん普通使うわ!)。とりあえずまた今度登りなおそう・・・。いや、つーかさ、そもそも限定のある課題ってどうなのよこれに限らず。好きな方法で登るのが岩ってもんじゃん、そういうのはジムでやることじゃん、だったら限定とかなくしてグレード下げればいいじゃん、一番良いホールド一番良いムーブを選択してそこを登るのが自然な形じゃん、そもそもそれじゃオンサイトとか無理じゃん限定かどうかまで見抜けってかそれは(ry・・・いやまあそういうこと言えばキリ無いけどね




「白昼の死角(1級/初段)」

スタートから1~2手目までの右手とばしが、踏んでいる右足もシビアなこともあり、非常に神経質で面白い。上部も雑にこなそうとすると充分落ちる危険がある、最初から最後まで気の抜けない良課題。



「メモリードール(1級/初段)」

「ドール(2級)」のロングバージョン(中間部あたり、左手を左方向にパーンと飛ばして取ってマッチしたガバが2級のスタート)。かなり「ジムっぽい」楽しい課題。ドール部分に入ってからは下地が深く抉れていて恐怖感があるが、上手くやれば「落ちないムーブ」を作れる。ガバめがけてランジしたほうが楽かもしれないが、マットと確率に頼ったムーブは好みじゃない。


白昼の死角は特に面白かった。
中々ジムじゃこういう風情は作れないな、と思う。

高難度の課題を追うのも勿論楽しいけど、これくらいの課題を色々登っていくのも楽しいし、経験にもなる。

他にも2級とか3級とか、はたまた10級とかにだって、何かはっとさせられるような部分とか、思いも寄らぬ面白さを秘めていたりするかもしれない。

色んな課題を楽しむ心の余裕をこれからもう少し持ったほうが良いのかもしれない。
それがまた自分のクライミングの懐を広げていき、深みを増していくことに繋がるんじゃないかな。

2014年11月8日土曜日

やってくるこの毎日が人生だと知っていたら

僕は一応「三段クライマー」なわけだけれども、

ひとくちに「三段クライマー」と言ってもピンからキリまである。


「三段(の実力がある)クライマー」

から

「三段(の課題を登ったことがある)クライマー」

まで。


両者の間にはやはり違いがある。

後者のタイプは、ギリギリ二段くらいの実力があるクライマーならなんとかなることができる。

「これ」と一つ課題を決め、そこに通いつめ、何度も何度も打ち込み続ける。
そうすればいつかなんとか自分の実力より1~2グレード上の課題くらいは落とせてしまえる。

それはしかし、登れた時点で三段の実力に成長したというよりは、

「その課題に適応した」

という面が強いだろう。

勿論それはそれでしっかりと時間と労力と情熱を必要とする。



僕は自分は
「三段(の課題を登ったことがある)クライマー」
だと思っている。

そしてこれから
「三段(の実力がある)クライマー」
になろうと思っている。

そのためにすべきことは、

一つの高難度の課題にひたすら打ち込みつづけること

ではなく

ひたすら多くの課題を登り、普遍的な、全体的な、汎用的な経験値を得ることなんじゃあないか、と

そういうことを

今日思い知らされた。



今日は三重に行ってきたわけだけれど、

やはり狙いは、前回敗退しつつも課題として強い魅力を感じていた

「ファイア」

とにかくその課題を少しでも進めようというのが第一目標としてあった。

アップを済ませたあと早速とりつくと、

前回うまく決まらなかったスタート~1手目のムーブが意外なほどすんなり決まり、その後のムーブも箇所ごとにはなんとかこなすことができた。

やはり「三段のムーブを起こす力」はあるのだろう。

しかし2手繋げると厳しく、3手を繋げるのは不可能。そんな状態だった。

何時間かそうこうしている内に指の腹が裂け、流血してきた。




 こんな傾斜で


 こんなカチとか


こんなカチとか

なのでさすがに指先感覚の鈍るテーピング状態ではこれ以上進めても得るものは少ないということでファイアのムーブ出しは打ち切り。

その後
「カツオノエボシ(三段)」
を触りに行くも、ホールドとムーブの選択肢が多すぎて、しかもラインもよく解らない(スマホは圏外なのでyoutubeカンニングもムリ)のでこちらも暫くしたら終了。まあ様子見ということで。


そしてここからが今日のある意味ハイライト。

「ラッキーセブン(初二段)」

結構リーチのキツイ横デッドが核心の好課題。
核心部のムーブ出しに苦労するも、決まってからはいけると確信。
しかし繋げトライで、ほぼ課題は終わっているリップ部分で足スリップ→キャンパで耐える→修正するもヨレ落ち。
でタイムアップ。

日も落ち、折角なのでまだ触ったことの無い岩の紹介だけしてもらいつつ、
帰る直前に一日の締めくくりにと

「カンパチ(初段)」

120度くらいの傾斜にマイクロピンチと小さなフットホールドの、スタートの離陸と1手目を出すのがかなり厳しい、THE外!って感じの課題。
これも始めは浮くことすら出来なかったがやっているうちに重心位置等が解ってきてスタート成功。
ところが上部のそれほど難しくないところでヨレ&迷い落ち。指皮をザックリ縦に切り裂かれるというオマケつき。




うーん


・・・決め切れない!



言い訳でも負け惜しみでもなく、ラッキーセブンとカンパチは落とせる課題だ。
というより「落として然るべき課題」
打った時間帯とか体のヨレとか色々あるけれど、それでもこれくらいなら実力で捻じ伏せなければいけないレベルだった。

こういう、実力的にはしっかりと落とせるはずなのに決めきれない、というところに
冒頭で言ったような「経験値」の不足を感じる。


初段くらいなら触ったら取りこぼし無く登る。
二段くらいは決めたら1日ないしは2日くらいで登り切る。

コンスタントにそれくらいならこなせるようにならないと、
まだまだ四段どころか三段も登れない!



ということで今日登れた課題は、アップがてら登った

「さざなみ(初段)」

だけでした。

易しめ初段と聞いていたので一撃を狙っていたんだけど失敗。
開き直ってホールドとムーブを探るとやはり割と顕著なホールドを見落としていた。
こういうところにも経験値不足が現れている。
ムーブ確認後は落ちる要素を感じなかっただけに悔やまれる。




2014年11月4日火曜日

11月、本格的にシーズンイン


ところで昨日から僕は風邪気味だった。

しかし今日は折角の休日だし、空気は冷えていて、雲は無く、岩のコンディションは良さそうだ。

自分の体とは、いつでも折り合いは付けられるが、季節や天候といった事柄に対してはそう容易に折り合いがつけられるものでもない。

そういうわけで、僕は岩に登りに行こうと決めた。

行き先はミタライ。

あと少しで登れそうな

「ハリガネムシ」と「ゴワトリ」

その2つの課題に照準を絞って打ち込むつもりだった。

最近は僕にしては結構まじめにトレーニングに取り組んでいたつもりだし、身体自体はそれなりに仕上がり掛けてきている。
しかし体調は今ひとつ。

岩のコンディションも実際に触ってみると思ったほど良くはなかった。70点といったところだろう。

自分の身体の状態についても半信半疑のまま、とりあえず「ハリガネムシ」からはじめることにした。

アップがてら核心である後半のランジ部分の練習を何回かこなし、体も温まり感覚も小馴れてきたタイミングでつなげに入る。

1stトライで、かなりいいところまで行けた。
核心のランジがほぼ止まりかけた。

完登の予感が強まり、浮き足立とうとする心を抑え、慎重にレストを挟み何度かトライ。

後半に意識を持って行き過ぎて序盤で足が切れて落ちたり、やはりランジがうまく決まらなかったりと、何度かミスを重ねたが、その度に細かく調整を繰り返して、納得のいく修正を加えていった。

結果、4回目のトライで完登することができた。







時間にしてみれば1時間もかからずに登れたことになるけど、実感としてはもっと掛かっていた気がした。集中し、緊張していたということだと思う。

その後、身体と精神のコンディショニングのため「ハナモゲラ(2級)」を登り、

次の目標である「ゴワトリ」に。

思ったより「ハリガネムシ」が簡単に登れたこともあり、今日の岩と自分の体のコンディションは思ったよりも良いんじゃないかと感じ始めていたため、「ゴワトリ」も今日中に登れるんじゃあないかという気持ちはかなり高まっていた。

しかし、

いざ取り付いてみるとやはり前回落ちていた箇所と同じ場所で何度も落ちる。
その部分を切り取って練習してみてもそれ以上改善の余地はあまり残されていないように思えた。

上部で落ちるのを防止するにはやはり下部のムーブをより正確にこなすしかない、という結論に至り、下部のムーブをより慎重に、注意深く、集中し、細かな調整を重ねて少しずつ洗練させていった。

そのようにして何度かトライを重ねるもやはりどうにも決めきれない。

その一因としては、前回岩に行った際に裂けてしまった右手中指の皮がまだ完治していなかったということもあった。
テーピングを巻くことでフリクションが犠牲にされるのを危惧していたため、敢えて何も巻かずにトライしていたのだが、それによってかえって無意識のうちに右手に力が込めきれていないのではないか、と思い至った。

指の腹のフリクションがなるべく死なないよう、かつ傷口がしっかりカバーできるような位置にテーピングを巻き、意を決してトライしてみた。これでダメなら仕方が無い。(体力的にも時間的にもこれが最期のトライになるだろうな、というタイミングだった)







登れた。

登れてしまった。

まあ、このゴワトリという課題に関しては「易しい三段だ」と言われているとか、今回僕が採用したムーブは初登時のムーブとは異なり幾分易しいものだとか、色々細かい言うべき箇所はあるのかもしれない。

でもとにかくこのライン、この課題を登れたことは確かだ。
そのことがただ素直に嬉しい。


その後、時間がまだ少しだけ余裕があったため「ケロ(1級)」をクールダウンがてら登り、今日のクライミングは終了。


結果的には今の自分にできる内での恐らく最高に近い出来だった。


今日思ったのは

「ベストコンディション」とはなんなのか?

ということ。

気力も体力も、環境も、すべてが最高に整っている状態。
そういう時ってあるんだろうか。

クライミングに生活全部を賭けられるわけでもない社会人であり、
クライミングが岩という自然物を相手にしているものであるかぎり、

そんな状況はほぼ無いといっていいと思う。

非の打ち所の無い完璧な状況というのは非現実的であるとさえ言える。

結局のところ「ベスト」というものは求めるべきでなく、「ベター」をいくつか重ねるしか無い。
これはコンディションという面でもそうだし、課題を登っている最中のムーブのこなし方についても同様に言えると思う。


いくつかの好条件といくつかの悪条件があって、

好条件をうまく味方につけて利用して、
悪条件をうまくかわすか抑えこむかして、

そういうふうにしてベストの結果を打ち出すしかないんじゃあないかな、と思う。