2014年11月8日土曜日

やってくるこの毎日が人生だと知っていたら

僕は一応「三段クライマー」なわけだけれども、

ひとくちに「三段クライマー」と言ってもピンからキリまである。


「三段(の実力がある)クライマー」

から

「三段(の課題を登ったことがある)クライマー」

まで。


両者の間にはやはり違いがある。

後者のタイプは、ギリギリ二段くらいの実力があるクライマーならなんとかなることができる。

「これ」と一つ課題を決め、そこに通いつめ、何度も何度も打ち込み続ける。
そうすればいつかなんとか自分の実力より1~2グレード上の課題くらいは落とせてしまえる。

それはしかし、登れた時点で三段の実力に成長したというよりは、

「その課題に適応した」

という面が強いだろう。

勿論それはそれでしっかりと時間と労力と情熱を必要とする。



僕は自分は
「三段(の課題を登ったことがある)クライマー」
だと思っている。

そしてこれから
「三段(の実力がある)クライマー」
になろうと思っている。

そのためにすべきことは、

一つの高難度の課題にひたすら打ち込みつづけること

ではなく

ひたすら多くの課題を登り、普遍的な、全体的な、汎用的な経験値を得ることなんじゃあないか、と

そういうことを

今日思い知らされた。



今日は三重に行ってきたわけだけれど、

やはり狙いは、前回敗退しつつも課題として強い魅力を感じていた

「ファイア」

とにかくその課題を少しでも進めようというのが第一目標としてあった。

アップを済ませたあと早速とりつくと、

前回うまく決まらなかったスタート~1手目のムーブが意外なほどすんなり決まり、その後のムーブも箇所ごとにはなんとかこなすことができた。

やはり「三段のムーブを起こす力」はあるのだろう。

しかし2手繋げると厳しく、3手を繋げるのは不可能。そんな状態だった。

何時間かそうこうしている内に指の腹が裂け、流血してきた。




 こんな傾斜で


 こんなカチとか


こんなカチとか

なのでさすがに指先感覚の鈍るテーピング状態ではこれ以上進めても得るものは少ないということでファイアのムーブ出しは打ち切り。

その後
「カツオノエボシ(三段)」
を触りに行くも、ホールドとムーブの選択肢が多すぎて、しかもラインもよく解らない(スマホは圏外なのでyoutubeカンニングもムリ)のでこちらも暫くしたら終了。まあ様子見ということで。


そしてここからが今日のある意味ハイライト。

「ラッキーセブン(初二段)」

結構リーチのキツイ横デッドが核心の好課題。
核心部のムーブ出しに苦労するも、決まってからはいけると確信。
しかし繋げトライで、ほぼ課題は終わっているリップ部分で足スリップ→キャンパで耐える→修正するもヨレ落ち。
でタイムアップ。

日も落ち、折角なのでまだ触ったことの無い岩の紹介だけしてもらいつつ、
帰る直前に一日の締めくくりにと

「カンパチ(初段)」

120度くらいの傾斜にマイクロピンチと小さなフットホールドの、スタートの離陸と1手目を出すのがかなり厳しい、THE外!って感じの課題。
これも始めは浮くことすら出来なかったがやっているうちに重心位置等が解ってきてスタート成功。
ところが上部のそれほど難しくないところでヨレ&迷い落ち。指皮をザックリ縦に切り裂かれるというオマケつき。




うーん


・・・決め切れない!



言い訳でも負け惜しみでもなく、ラッキーセブンとカンパチは落とせる課題だ。
というより「落として然るべき課題」
打った時間帯とか体のヨレとか色々あるけれど、それでもこれくらいなら実力で捻じ伏せなければいけないレベルだった。

こういう、実力的にはしっかりと落とせるはずなのに決めきれない、というところに
冒頭で言ったような「経験値」の不足を感じる。


初段くらいなら触ったら取りこぼし無く登る。
二段くらいは決めたら1日ないしは2日くらいで登り切る。

コンスタントにそれくらいならこなせるようにならないと、
まだまだ四段どころか三段も登れない!



ということで今日登れた課題は、アップがてら登った

「さざなみ(初段)」

だけでした。

易しめ初段と聞いていたので一撃を狙っていたんだけど失敗。
開き直ってホールドとムーブを探るとやはり割と顕著なホールドを見落としていた。
こういうところにも経験値不足が現れている。
ムーブ確認後は落ちる要素を感じなかっただけに悔やまれる。




2014年11月4日火曜日

11月、本格的にシーズンイン


ところで昨日から僕は風邪気味だった。

しかし今日は折角の休日だし、空気は冷えていて、雲は無く、岩のコンディションは良さそうだ。

自分の体とは、いつでも折り合いは付けられるが、季節や天候といった事柄に対してはそう容易に折り合いがつけられるものでもない。

そういうわけで、僕は岩に登りに行こうと決めた。

行き先はミタライ。

あと少しで登れそうな

「ハリガネムシ」と「ゴワトリ」

その2つの課題に照準を絞って打ち込むつもりだった。

最近は僕にしては結構まじめにトレーニングに取り組んでいたつもりだし、身体自体はそれなりに仕上がり掛けてきている。
しかし体調は今ひとつ。

岩のコンディションも実際に触ってみると思ったほど良くはなかった。70点といったところだろう。

自分の身体の状態についても半信半疑のまま、とりあえず「ハリガネムシ」からはじめることにした。

アップがてら核心である後半のランジ部分の練習を何回かこなし、体も温まり感覚も小馴れてきたタイミングでつなげに入る。

1stトライで、かなりいいところまで行けた。
核心のランジがほぼ止まりかけた。

完登の予感が強まり、浮き足立とうとする心を抑え、慎重にレストを挟み何度かトライ。

後半に意識を持って行き過ぎて序盤で足が切れて落ちたり、やはりランジがうまく決まらなかったりと、何度かミスを重ねたが、その度に細かく調整を繰り返して、納得のいく修正を加えていった。

結果、4回目のトライで完登することができた。







時間にしてみれば1時間もかからずに登れたことになるけど、実感としてはもっと掛かっていた気がした。集中し、緊張していたということだと思う。

その後、身体と精神のコンディショニングのため「ハナモゲラ(2級)」を登り、

次の目標である「ゴワトリ」に。

思ったより「ハリガネムシ」が簡単に登れたこともあり、今日の岩と自分の体のコンディションは思ったよりも良いんじゃないかと感じ始めていたため、「ゴワトリ」も今日中に登れるんじゃあないかという気持ちはかなり高まっていた。

しかし、

いざ取り付いてみるとやはり前回落ちていた箇所と同じ場所で何度も落ちる。
その部分を切り取って練習してみてもそれ以上改善の余地はあまり残されていないように思えた。

上部で落ちるのを防止するにはやはり下部のムーブをより正確にこなすしかない、という結論に至り、下部のムーブをより慎重に、注意深く、集中し、細かな調整を重ねて少しずつ洗練させていった。

そのようにして何度かトライを重ねるもやはりどうにも決めきれない。

その一因としては、前回岩に行った際に裂けてしまった右手中指の皮がまだ完治していなかったということもあった。
テーピングを巻くことでフリクションが犠牲にされるのを危惧していたため、敢えて何も巻かずにトライしていたのだが、それによってかえって無意識のうちに右手に力が込めきれていないのではないか、と思い至った。

指の腹のフリクションがなるべく死なないよう、かつ傷口がしっかりカバーできるような位置にテーピングを巻き、意を決してトライしてみた。これでダメなら仕方が無い。(体力的にも時間的にもこれが最期のトライになるだろうな、というタイミングだった)







登れた。

登れてしまった。

まあ、このゴワトリという課題に関しては「易しい三段だ」と言われているとか、今回僕が採用したムーブは初登時のムーブとは異なり幾分易しいものだとか、色々細かい言うべき箇所はあるのかもしれない。

でもとにかくこのライン、この課題を登れたことは確かだ。
そのことがただ素直に嬉しい。


その後、時間がまだ少しだけ余裕があったため「ケロ(1級)」をクールダウンがてら登り、今日のクライミングは終了。


結果的には今の自分にできる内での恐らく最高に近い出来だった。


今日思ったのは

「ベストコンディション」とはなんなのか?

ということ。

気力も体力も、環境も、すべてが最高に整っている状態。
そういう時ってあるんだろうか。

クライミングに生活全部を賭けられるわけでもない社会人であり、
クライミングが岩という自然物を相手にしているものであるかぎり、

そんな状況はほぼ無いといっていいと思う。

非の打ち所の無い完璧な状況というのは非現実的であるとさえ言える。

結局のところ「ベスト」というものは求めるべきでなく、「ベター」をいくつか重ねるしか無い。
これはコンディションという面でもそうだし、課題を登っている最中のムーブのこなし方についても同様に言えると思う。


いくつかの好条件といくつかの悪条件があって、

好条件をうまく味方につけて利用して、
悪条件をうまくかわすか抑えこむかして、

そういうふうにしてベストの結果を打ち出すしかないんじゃあないかな、と思う。

2014年10月29日水曜日

10月まとめ


10月は岩行きまくり!


・・・にしたかったけど結果的には殆ど行かなかったなぁ。


10/23にミタライ
10/28に三重県某所
10/29に武庫川

と三回行っただけ、か。


内容としても個人的にはほぼ成果なしと言っていいね。

ミタライは

「ハリガネムシ(二段)」

「ゴワトリ(三段)」

に再度敗退。

以上。



10/28の三重では

まず

「上手(ジョーズ)(1級)」

をやり、



それのSDスタートの

「メガロドン(二段)」をやるも敗退

その後

「カッターナイフ(1級)」

をやる。

一撃できそうだったけどダメだったわ。

迷いながらも次のトライで落としたけど(動画見るとわかるけどムーブぶれぶれやな)
これくらいなら一撃せんといかんな。


その後

「円盤(初段)」

「羅針盤(二段)」

を触るも、

なんとスタートの離陸ができず敗退


・・・屈辱


その後

「ファイア(三段)」

にトライ。


この課題がね、

良いよ。

好きだわ。

130~140度くらいの強傾斜に薄めのカチと際どいスタンスで繊細かつ強いムーブをこなしラストはランジで〆る。

かなりカッコイイ課題。



まあ勿論敗退したんですが、触り始めは殆どイミワカラン状態だったのに数時間打ち込んだら結構いけそうな気配も見えてきたんでヤル気上がった。

で、

夕方ごろちょっと移動して

「お受験(初段)」

を登る





午後五時のチャイムが響いてますね。

その後「あんころもち(1級)」を登り、
そのSDスタートの「センター試験(二段)」にトライするもまたも離陸できず終了。

円盤、羅針盤、センター試験と、
両手アンダーのSDスタートがここまで苦手だとは思わなかったな。


全然課題は登れなかったけど、初めての岩場はやっぱりそれだけで楽しい。
めっちゃ打ちまくってヘトヘトになって家に帰ったのが24:30くらい。

またここの岩が鋭くてジャギジャギしてて指が超痛い。

だがそれがいい!



そしてその翌日10/29

武庫川ですよ。


まずはアップがてら

「落石(1級)」
(もとは初段と言われていたけどリグレードされたらしい。確かに初段と言うより1級のほうが適正な気はする)

「猿の隠れ家(初段)」

を登り、


冷酷のムーブばらしと

「飛び猿(三段)」のランジ練習。


冷酷に少し進歩があったのは良かった。





うーん。


やっぱり普段の登り込みが全然足りないな。

もっと強く、もっと上手くなるために、意識改革をせねばな。



そうそう

23のミタライと29の武庫川は

岩場めぐり中の猫海くんと一緒に登りましたよ。


「相変わらず強かった」

とは言えないな、もう。

僕の記憶の中よりももっと強くなってた。

「強いこと」そのものよりも、その成長性にこそ嫉妬を覚える。


やはり彼は僕にとって

憧れであり、
目標であり、

そしてライバルでありたい。

ちょっと現状ライバルとはとても言えないけど、いつか追いつき、追い抜きたいとは実はいつも思っている。

だから彼が強くなっていて――彼との差が広がっていて――悔しいと同時にやはり嬉しかった。




全体的なレベルアップをしなきゃいけない。

ただ高難度の課題を登るってだけを目標とするなら、

通いつめてその課題だけを何度も何度も打ち込んだりすればまあ落とせるんだと思う。

それで結果登れたらそりゃあ嬉しい。

嬉しいが、それは厳密には「その課題に適応した」というのが大きく、

「強くなった」と言うために必要な実感をもっと根本的に普遍的に恒常的に自身に根付かせるためには、もっと沢山、岩場でもジムでも登らないといけないな、うん。




よし!


修行するぞ!

2014年9月29日月曜日

予感

今日(9/29)も行ってきましたよ岩!

最近更新頻度上がってきましたねこのブログも。

シーズンですからね!

(でも10月はちょっと頻度落ちそうなんだよなあ)


ということでまたミタライ!行ってきました。

今日の目当ては

「ハリガネムシ(二段)」

けっこうからめの二段ということで、

1dayできたらすげーよ、と言われていたので

すげーよ、といわれるためにめっちゃ打ち込みました。

結果・・・



ダメでした



いやまって、言い訳させて!

暑かったんですよ今日!

夏日だったんです!

30℃超えてたんです(マジで)

でこの課題は結構コンディション大事なんです(多分)


ということでね、コンディションよければ行けたかもー、なんて、、、

いや、

やっぱ言い訳です。


落とせなかった。


ただその事実だけです。



でもまあムーブはバラせたし、次回はいける気配は強い。

核心は終盤の横ランジだけどこの写真の次の左手寄せクロスがなんせ悪い



で、右肩のヨレが限界きてハリガネ敗退したあと、

夕方になって気温下がってきたので次に

「ゴワトリ(三段)」

にトライ。

二段ヨレて諦めてんのに次に打つ課題のほうがグレード上がってんじゃん、
と思われるかもしれませんが、

ハリガネムシがフィジカル&テクニック系なのに対して

ゴワトリは指系(カチ系)なので使う筋肉は違うのでなんとか行けるかな、と。


で実際触ってみると


あれ、

これ、


いけんじゃね?


簡単に、と言うわけではないですが、

全ムーブの解決に成功。

やっぱ気温下がってコンディションよくなってきてるのがでかい!

と俄然テンション上がり、そこから繋げトライに入るも


やはり


だめでした。


やはり指に負荷の強い連続カチ。
繋げると微妙なヨレが身体を落とす。



いやでもこれも岩と身体のコンディション次第では全然行けそう。




ということで今回はアップで登った3級以外はなにも登れなかったわけですが、


「悔しい思い」


「行けそうな予感」


という最高のモチベーションを持ち帰ってくることが出来ました!


やってやるぜ!





2014年9月26日金曜日

ゴゴカラムコガワ


今日(9/26)はね、

本当はレストかジムトレにしようと思ってたんですよ。

午前中にPCのネット環境を整備するための工事する予定がありましたので。


でもね、

ふと思ったんですよ。

「近場の岩なら午後からでも充分楽しめるんじゃね?」

と。


ということで、

昨日の仕事終わりにジムで散々登った後の帰りの電車内で


ぼく「明日午後からになるけど武庫川行かない?」

ワッタ「行きましょう!」


となってね、

行ってきました。


出発は12:30くらいだったんですけどね、

初めての岩場だということもあり、

いや、充分楽しめましたね。


アプローチがちょっと

恐くて(暗いトンネル)
恐かった(急なガケ)けど、

短時間低運賃でこんなスバラシイ岩に行けるってのは最高ですわ



でもまあ時間もそんなに無いし、

初段あたりを二人でさくっとやって帰ろーぜとなり、


まずはアップがてらと

「大猿回し(初段)」



スタート直後の手に足ヒールの位置の探りにちょっと手間取ったけど、
それでも結局2手目以降は落ちる要素が無く、アッサリと落とせました。
(あまりにアッサリ落としちゃったため動画をとり逃したため動画用に再登しました)


次に触ったのが

「猿の神(初段)」


いやね、これは悪かった。


とにかく核心のガバ取りの飛び出しがやりづらくて、

はじめのうちはガバに届きもせず、届いたら届いたで振られがデカくて落ちまくり。

でもホールドの握りとか足位置とかを試行錯誤して細かくアジャストしていったら段々色々改善されていって、



最終的には落とせました。

スタート左後方のランディングに岩が飛び出しているところがあって、その上にマットを置いていたんですが、ムーブ出しの際そのマットに足が当たることが多かったので、思い切ってどかしてみたのも良かったですね。

まーこの課題は見ての通りのバシバシ系

つまりワッタの得意系、

ということでかなり早い段階で彼だけムーブ出て俺取り残され気味だったんですが、

ムーブが完成するやいなや次の繋げトライでスグに落とせてしまい、結果的には俺が先に落とすという結果に。

そして直後日が暮れ、ライトで照らして粘るも本気で暗くなってきたのでタイムアップ。

宿題な!



まあね、今回は突発的だったということもあり

前日レストもしてないし居たの3時間くらいだったし、

前座ですよ前座

本番は、

そう


冷酷(四段)


コイツは今日時間なくてロクに触らなかったけど、ホールドの確認だけはしたところ、

(案外イケるんじゃね?)

と感じちゃったりしてみたり。

これから本格的にシーズンイン!


今年は冷酷をやります!(宣言)

2014年9月25日木曜日

関西の基準初段

ちょっと忙しくてブログに書けてなかったけども、

9/19にね

御手洗行って来たんですよ。

もう季節も秋めいてきまして、岩のコンディションも徐々に良くなって来てましたね。

まず第一の目標は、

前回敗退していた

ターターシン(初段)


・・・
まあゆうても初段だし、
体の調子と岩のコンディションそれなりに良いんだからスグに落とせる思うとりました。

サクっと落として他の課題やりまくろーと思ってたんですよ。


しかしね、色々あってドハマリしましたね。

まず
前回落とした「草餅」の岩に行って、
「草餅」と「超草餅」を落としてない他のメンツに付き合いつつ、
アップがてら草餅リピートと超草餅リピート(超のほうは完登まではやってないけど)
してたら、
なんか興が乗って打ちすぎた。

あとターターシン自体、

1箇所、

1箇所どうしても持ち方がしっくりこないホールドがあってずーっとそこで落ちてた。

・・・あの右ガストン(?)タテガチャカチめ。

最終的にはよく解らないまま開き直って力でゴリ押しました。



ということでね、

今までクライミングは理論だバランスだ言ったりしてましたが、

すいません間違ってました。

クライミングはゴリ押しです(確信)


…まあ半分以上冗談なわけですけども、
やはり時にはただ力と気合に頼るってのもクライミング(とりわけボルダー)には大切なんだな、と。
有る意味原点に立ち返ることができたということですね。


2014年9月11日木曜日

強傾斜壁におけるランジ理論―「振られにくい」ランジとは―

久しぶりの更新ですよ、と。

もう1ヶ月以上放置してましたねこのブログ。

だって夏はあまり岩行かないんですもん。

ということでね、今回の内容も岩行った話じゃありません。

ちょっと今までのジムトレで学んだことの一部を解りやすくまとめてみたくなったので、それを。

タイトルの通り、「強傾斜壁におけるランジ」についてです。

今回のテーマは

「いかに“振られ”の少ない跳び方をするか」

ということについてです。

ランジの際に落ちる原因の1つとして

「次のホールドを捕った後に振られて落ちる」

というのがあります。

「そもそも次のホールドに届かない」
というのは単に保持力、フィジカル不足によるところが大きいです。

しかし「振られて落ちる」ということに関しては

「跳び方」を変える事で簡単に改善することが出来ます。


まず前提として、

ランジにおいて重要なのは「重心の位置」です。

どうしてもクライミングをしている時は
ホールドを握っている「手の位置」
ホールドを置いている「足の位置」
ばかり気にしてしまいがちです。

しかし真に重要なのは重心の位置であるというのはクライミング中級者以上であればわかると思います。
(この感覚が解らないというクライマーはただの保持力オバケです。もう理論とか必要ないから全部力で捻じ伏せてください。結局理論やテクニックなんて保持力が無い弱者のためのものなんです)

とりわけ強傾斜、さらにランジの時などはほぼ空中にいるようなものなので、重心の位置は垂壁、スラブでスタティックに動いているときより強く結果に影響を及ぼします。

姿勢やポジションによって重心の位置は腰付近にあるときもあれば胸付近にあるときもありますが今回は重心の位置が腰にある場合として説明していきます。

まずは次の「図1」を見て下さい。




これは

跳ぶ前に手足を縮めてしっかりロックして、重心を壁に近づけたところからスタートし、そのまま真っ直ぐに跳び上がった場合です。

図の赤矢印が重心の移動の線です。
つまりこのような跳び方をすると、

次のホールドを捕った後に重心が後方に流れていくわけです。

次に「図2」を見て下さい。



これは跳ぶ前に少し腕を緩めて腰を深く落とし、跳ぶ動作の過程で腕を伸ばし腰を後方に一度引き(図の黄色い影)それから上に跳び上がる方法です。

赤矢印の軌道を図1と比べてみましょう。全然ちがいますね。
この跳び方をした場合、

次のホールドを捕った後に重心が上方に引っ張られます。

つまり、マイナス要因のはずの「振られ」が逆に身体を引き上げるためのエネルギーとして利用できるようになるわけです。


図1の跳び方の場合、「跳びすぎ」に注意する必要があります。
必要以上に跳んだ分のエネルギーは「振られ」の大きさに繋がるからです。

図2の跳び方の場合、「跳びすぎ」はむしろOKです。
必要以上に跳んだ分のエネルギーは身体を上に持ち上げる助けになるからです。

勿論、
「調度良い飛距離を出そう」
と思ったときよりも
「出せるだけ飛距離を出そう」
と思ったときのほうが思い切り跳べるためより遠くのホールドに向けて跳ぶ際に有利になるし、距離調整に神経を削られない分、ホールドの保持や足置きなどに集中力を割くことができ、そこも利点の一つです。


ということで、

図2のような跳び方をしよう!

というのが今回の「ランジのコツ」の1つの結論になるわけなんですが、

勿論そう簡単に話は済みません。

図2のような跳び方をするにはいくつか条件があるわけです。

①跳ぶ前の手と足の位置がある程度近い
→これがないとまず図2のはじめの姿勢がとれません

②跳ぶ前の手がしっかり保持できている
→これができないと図2の黄色い影の状態になったところですっぽ抜けて後方に落ちます


②については結局保持力かよ!
と言われるかも知れませんが、それについては

「はいそうです」

としか言いようが無いですね。
やっぱり最後は保持力ですよ。


あとは例えば、

・跳びだす前のホールドと姿勢がとても悪く
・跳びつく先のホールドがドガバ

の場合は、振られで落ちることより跳び立てず落ちる場合のほうが多いので、むしろ図1のような跳び方を推奨すべきですね。

つまり図2のような跳び方は、はじめに言ったように

「次のホールドを捕った後に振られて落ちる」という状況を改善するためのムーブなわけです。




さてここからまた少し話は変わりますが、
最近ランジにおいてまた一つコツのようなものを見つけました。

それは

「手を見る」

ということです。

基本のダイアゴナルムーブのコツとして、進行方向の逆を見る、というものがありますがそれと同じようなものです。

つまり、
新しく捕ったほうのホールドではなく、

もともと持っていたほうの、残した手を見る。ということです。

視線というものは思った以上に体の向きの決定に関わっています。

両手でホールドを握っているとき、

右手を見れば自然と右肩が後方に開き左肩が前方に突き出されます。
左手を見れば自然と左肩が後方に開き右肩が前方に突き出されます。

登っている最中のように一瞬で色々な判断、動作をしなければいけない時、

「左肩を後方に開き右肩を前方に突き出す」
という動作を考えて実行するよりも

「左手を見る」
を実行したほうが早いですね。

こういうのは大事です。


実験によると
跳び箱を跳べない小学生を集めて
「跳び箱の奥のほうに手をつけば跳べる」
と教えたところ殆どの生徒は跳べなかったが、
跳び箱の奥1/3に赤いテープを貼って
「赤に手をつけば跳べる」
と教えたところ多くの生徒が跳べるようになったとか


ここで
「図3」「図4」を見てください。




図3の場合は
残したほうの手を「押せて」います。

図4の場合は
残したほうの手は「引いて」しまいます。

なぜ引くのが悪く、押すのが良いのかというと、これも重心位置との兼ね合いです。

もう一度「図1図2」に戻って、捕った後のカタチを見て下さい。

左手の位置は重心よりも高いところにあります。
重心よりも高い位置にあるホールドは引けば効きます。

右手の位置は重心とほぼ水平に近い位置にあります。
重心と同じ高さにある(同じ高さに近い)ホールドを引いても抜けるだけです。

実際に触ってみると解ると思います。


ランジして、振られた結果、残しておいたほうの手が切れる、という状況の多くは、残したほうの手を依然として引き続けているということが原因です。

それを解消するために

「身体を軽くひねり、残したほうの手のほうの肩を後方に開いて、残しておいたほうのホールドを“引く”から“押す”に切り替える」

ということ。
そしてそんなことをランジの一瞬で考えて実行するのは難しいので、

「残したほうの手を見る」

に省略するということです。


実はこの「手を見る」法なんですが、

上記の解説は仮説です。

実際に自分でやってみて、「手を見る」と上手く止まることが多かった。
その経験に対して後から色々試行して思考して、納得の行く理屈をつけただけです。

だから実際「手を見る」ことで上手くランジが止まる理由は他にもあるのかもしれません。
ひょっとしたら僕の身体的に変なクセがついていて、「手を見る」ことでその変なクセが矯正されていただけであって、他の、僕と共通のクセが無い人はこの方法を試しても上手くいかないのかもしれません。

まあでも今のところ僕はこの「手を見る」法はかなり有効だと思っているし、この仮説もそれなりに説得力のあるものだと思っています。



とまあ、
こんなところです。

ランジが苦手な人は是非この理論を試してみて下さい。

劇的に変わるってことは無いにせよ、多分ほんの少し改善されると思います。

「全然変わらん」
「むしろ悪くなった」

と思ったらすいません。

「あのホラ吹きヤロー!」と心の中で罵ってください。



いやー
長くなった!

書き始める前はもっとあっさり終わらせるつもりだったのにこんな長文になってしまった。

こういうの書き始めるとほんと長くなる。
書いてるうちに当初書く予定無かったこととか、
書きながら思いついたこととか追加したりとか、

いやでもこういうアウトプットは大事ですよ。

アウトプットすることで自分のなかに再度強く認識されますし、自分の思考を改めて客観的に分析しなおす機会にもなりますしね。




続編
デッドポイント理論―壁との距離―