2017年5月21日日曜日

ベストコンディション

5/15(月)

僕は久しぶりにこの男とともに岩の前に立っていた

解る人には解る背中

行き先はやはり神戸

前々日にかなり強い雨が降っていたようで、

コンディションの悪さは予想されたものの、

僕がムタンテ(四段-)をやりたいばかりに強行に付き合ってもらった。

岩に着いてみると、予想以上に濡れていた。

ホールドが湿っているとかいうことではなく、岩全体が濡れていた

まあそれでも、キッチンペーパーで拭いたり(もはや岩に行くときにキッチンペーパーは必須アイテムと化している)、

チョークをまぶしてブラッシングを繰り返したりしているうちになんとかトライ自体は可能な状態にはなった。

それでもやはり滑る。落ちる。疲れる。

濡れてなければ間違いなく成功するはずのムーブなのに落ちる。

ただ、

そういう環境なのにもかかわらず

楽しかった。

極悪のコンディションであるが故に、逆に結果にこだわらずに純粋に岩と戯れる楽しさみたいなものがあった。

実はこの日一回ムタンテをスタートから繋げてリップまでは行ったんだけど、リップがびしょびしょで結局スリップして落ちてしまった。

その時も、もちろん悔しいという気持ちもあったんだけどなんだか可笑しくって笑ってしまった。逆にすがすがしいくらいだった。

「狙った課題を完登する」という結果だけを求めて岩に行くんだったら、わざわざコンディションの悪い日に行くだけ損だとか考えてしまうかもしれないけど、

そういう日はそういう日なりの楽しさもある。

岩登りってやっぱりどうあっても楽しいんだ、と思った。


・・・


そして

5/21(日)

さすがにもう岩も乾いているだろうとアタリをつけ、

今度は完登という結果を求めて再度神戸へ。

しかし、

どうもここ2~3日の間にまた何度か細かく雨が降ったらしく、

岩は完全には乾いていなかった。

今日は気温も高く、

道路上の温度計は30℃を記録していた。

明らかなバッドコンディションだ。

でも

それでも

この間よりはまだ良い。

終盤だけバラしてリップの状態を確認したところ、少なくとも濡れていない。

この時点で僕はもう今日の完登を確信していた。

あのコンディションの中でリップまで行ったんだから、多少濡れてるくらいで登れないわけが無い」

そういう自信があった。

その意味でも、あの濡れた岩で登ったことは圧倒的に自分にプラスをもたらしている。




ということで完登

かなり早い時間に落とすことができたので、

次に

電池パック(三段)

に手をつけることに。

しかしコイツの2手目のカチが痛い痛い。

そしてこのカチの染み出しが酷くてスッポ抜けまくる。

鋭いカチでスッポ抜けるという落ち方を何回か繰り返した結果、

久しぶりに右手中指から流血!

もう少しで登れそうだと思ったのでアロンアルファとテーピングで固め、

「あと1回だけやる!」

と決めて痛みを我慢しながらトライ。




後半に入って右手をシェイクしているときに、

明らかに右手の指先に鮮やかな赤い色が見えてかなり動揺するも、

逆にこれで登れなかったら全てが台無しだと思い、気持ちで押し切った。


登ったあと確認したら薬指にも穴が開いていた。
(止血したあと写真撮ったから結構なんでもない傷に見えるけど、完登直後は結構派手に血が流れ出ていた)

後にホールドをブラッシングしながらチェックしたところ、どうも2手目の時点で流血は始まっていたらしい。


そんなこんなで、今日は終了。


四段を登るってのははじめてじゃないけど、

ここのところ高難度の課題を登った日はその課題だけで完結してしまって、
その次が繋がらないということばかりだったので、

今日ムタンテの後に電池パックを登れたのはかなり嬉しかった。

そして何気に三段を1dayで登れたのは初めてな気がする。


結果だけ見れば、

実は今日はベストコンディションだったんじゃないかと疑いたくなるくらいであった。

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