2019年1月28日月曜日

漫画の話

(今回はマジでクライミング全く関係無い内容です)

本当に岩に行けてない。

原因は自堕落なメンタルと天気と距離とスケジュールと体力と……

まあ一番大きな要因はやっぱり天気。

2月になればもう少し暖かくなるだろうからそうしたらもう少し気軽に行ける。
はず。

で、

じゃあ岩に行かないで休日何してんのかって言いうと、

そりゃーー漫画読んでます。

電子書籍って便利やね。
家から一歩も出ずに、そしてマイナーな漫画も苦労して本屋を梯子したり取り寄せしたりせずにポンっと買うことができる。

以前は「やっぱり本は紙で読まないと!」と電子否定派だったけど、
この便利さには勝てなかったよ…


そんなこんなで、

ここ最近に読んだ漫画について色々書いていきます。

そう

暇なんです。

今日も塩原に行こうと思ってたけど天候の問題とか微妙なスケジューリングの都合で半端に暇なんです。

暇つぶしのために書きます。

題して

『最近読んだちょっとマイナーだけど面白い漫画』


「オーイ!とんぼ」

既刊1~15巻(以下続刊)

『ゴルフ漫画』って実は結構好き。
小学生の頃読んだ「ライジングインパクト」みたいなトンデモ設定も好きだったし「空の昴」も「KING GOLF」も面白い。「黄金のラフ」も良かったし「風の大地」は紛れもなく名作。
ただ、この「オーイ!とんぼ」はそれらと比べても一番好きかもしれない。

元プロゴルファーが鹿児島の南の離島で天才少女と出会って云々…という、まあ話の大筋は結局天才主人公がTUEEEEEE!!!!する感じのものなんだけど、展開がすごく丁寧に進んでいくし、登場人物が誰もかれも魅力的。
技術的な解説にも(実際合ってるのかどうかは置いておいて)かなり説得力があって良い。

個人的に泣いたのは7巻。
最も熱かったのは13~14巻。
10巻のラストも良かった。

掲載誌が漫画雑誌じゃなくて「週刊ゴルフダイジェスト」というゴルフ雑誌であることから、普通の「漫画を読む層」に浸透していない分かなりマイナーだと思うけど、これが「ビッグコミック」とか「モーニング」とかその辺で連載されてたらもっとエラいことになってたと思う。

今最も人に薦めたい漫画。



SHIORI EXPERIENCE ジミなわたしとヘンなおじさん

既刊1~12巻(以下続刊)

地味な高校教師に、ジミヘンドリクスの幽霊が取り付いて、「27歳が終わるまでに音楽で伝説を残さなければ死ぬ」という呪いまでかかり、なんやかんやで生徒たちとバンドを組んで伝説を残そうとするという物語。

そもそもの設定の根幹が「ヒカルの碁」のパクリやん!とか
素人に毛が生えた程度の奴らが数日の特訓で上手くなりすぎ!とか
メンバー今までの居場所簡単に捨てすぎじゃね?とか
ストーリーラインとか脚本上の細かい突っ込みどころは多々ある。

それでもそういった細かい突っ込みどころを気にさせないような勢いと迫力がある。
減点形式で見ていったら凡作だけど、加点形式で評価していったら名作といえると思う。

「音楽」というものを漫画でどう表現すればいいのか、というのに明確な正解は今のところどの漫画家も持っていないと思うが、この漫画はその表現がかなり上手い。

凡庸な漫画だったら、「どれだけすごい音か」ということを、例えば観客の心理描写で(な、なんてすごい音なんだ!)みたいな感じで文字に起こして説得力を持たせようとしてしまうけど、この漫画はそういうのがほとんど無く、あくまで「絵」とか「コマ割り」とか「構図」とか、「漫画表現」で「音」の感じを表現しようとしている。
ちょっと誇張しすぎな感じもあるけど、「漫画」で「音楽」を表現しようとしている数少ない挑戦的な漫画であると思える。

もっといろんな人に知って貰ってもいいと思う。



恋は光

全7巻

「恋をしている人間が光って見える」という超能力(?)を持った大学生の主人公が、その光の謎について考えながら自分の恋に向き合っていく、みたいな感じの物語。
第1話を読んだ時点では(この設定で話が続けられるのか?1巻完結くらいで終わるんじゃね?)と思ったが、意外にもまったくダレることなく7巻まで密度の濃い話が続いた。

基本的にはゆるい感じで物語が進行する。コメディと言うほどユルくもないが、ドロドロと深刻な感じにはならない絶妙なバランスで、ストレスを感じずに読み進むことができるのは凄い。
構図としては主人公の男一人に対し、恋心を抱く三人のヒロインが居るという形になるが、よくある「何の取柄もない主人公にわけもなく惚れる美少女達」みたいな、男の欲望を満たすためのご都合主義的な設定に見えない。
どちらかといえばむしろ女性陣の視点で物語が進行していくことが多く、ヒロインが、主人公のために用意された「キャラクター」的ではなく、一個の人間として丁寧に描写されているのがこの漫画を魅力的にしている。

物語の全体的な評価としては「結構面白い」というくらい。
ただ、
北代さん(キャラのフルネームが出ないのよこの漫画)というヒロインを生んだだけでこの漫画には計り知れない価値がある。
個人的に今まで読んだ全漫画中第1位ヒロインである。(この漫画のメインヒロインとは言ってない)こんないい女、現実どころか二次元界を広く見渡してもそうそうおらんわ!アホか!
むしろ主人公は北代さん。

同作者の「煩悩寺」「純真ミラクル100%」も面白い。



銀河の死なない子供たちへ

全2巻

この作者「施川ユウキ」は基本的にはギャグ漫画作家で、異常なシュール4コマのデビュー作「がんばれ酢めし疑獄!!」の頃からなんか好きだった。
同じく4コマの「サナギさん」それからアニメ化もした「バーナード嬢曰く。」は知っている人も結構居ると思う。(いるよね?)

ギャグ漫画の中でも時折風刺的というか、哲学性を感じさせるようなシーンやコマやセリフなんかが散見されていた。

恐らく今作が施川ユウキが本当に漫画で描きたかったことの一つなんじゃないかなーと思う。
「バーナード嬢曰く。」を読んで推察されるに、この作者の読書量(特にSF系)はかなりのものだと思う。
それに裏打ちされた確かな世界観がある。
いつかこの作者の描いた重厚なSFストーリーを読みたい。
でも絵がアレだからシリアス長編にするなら作画を別につけたほうがいいのかな。

こういう漫画を読んだとき真っ先に思い浮かぶ言葉が「考えさせられる」という言葉。
僕はこの「考えさせられる」という言葉が嫌いだ。この発言をする人は大抵実際には具体的な考えなど何一つ浮かんでいないからだ。
なんとなく感動したような、哲学的なような、そんな作品に出合った時、実際には何も学んではいないのに何かを学んだ気になる。そんな時に出てくる言葉が「考えさせられる」だ。
多分この漫画を読んで「考えさせられる」という感想を実際に発言した読者は多いと思う。

読み始めると短時間であっさりと読み終えるけど、読後感はもったりと残り続ける感じ。
短いので是非読んで欲しい。そして何かを「考えさせられ」て欲しい。




異世界おじさん

既刊1巻(以下続刊)

17年間の昏睡状態から目覚めたおじさんは、異世界からの帰還者だった。

基本的にはこの漫画自体が「後日談」みたいなものである。

まずこの漫画を楽しむには、昨今のライトノベル界隈や深夜アニメ界隈を席捲している「異世界転生」という設定についてそこそこ知っている必要がある。
それを知らないとそんなに面白くないかもしれない。

よくある「異世界モノ」に対する揶揄というか、それを踏まえたアンチみたいなところが少なからずあって、そこが絶妙な笑いを生んでいる。

ギャグ漫画の形式も色々多岐にわたってきていて、どんなものがハマるかは人それぞれって感じはあるが、個人的にはツボにバッチリはまった。
大爆笑!って感じではないが、ニヤリとしてしまう箇所が多い。

おじさんの回想に出てくるエルフの女性が可愛くて、ラブコメになりそうだけど絶対にならないってところも面白い。エルフさんマジ不憫。

1話からのバックナンバー数話と最新話が
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_MF00000079010000_68/

ここで無料で読めるので、ちょっと読んでみて欲しい。
ハマる人はハマるはず。




東京都立呪術高等専門学校

全1巻

今や週刊少年ジャンプの看板候補にもなっている(と俺が思っている)「呪術廻戦」の前日譚。
本誌で呪術廻戦を連載する前にジャンプGIGAで短期連載された作品。

もともと呪術廻戦は連載スタートするつもりはなくて、この呪術高専が思いのほか人気だったから設定を引き継いで呪術廻戦という作品が本誌連載を開始したらしい。

呪術廻戦はもちろん面白いし好きだが、個人的にはこの呪術高専のクライマックスを超えるシーンは未だ出てきていないと思う。

呪術廻戦を読んでいる人はこの呪術高専も読むべきだし、呪術廻戦を読んでない人はまずこの呪術高専を読んで欲しい。これを読めば呪術廻戦も読みたくなるはず。




さよなら、ハイスクール
全3巻

自分の教室の「スクールカースト」をぶっ壊してやろうと主人公が奔走する物語。

この漫画は「絵がヘタ」(あるいは絵が雑)なのが逆に良い。
このテーマで絵が変に小綺麗だとなんだか生々しくなりすぎて説教臭い印象が増大してしまう気がする。
ざっくりとしたややコミカルな絵柄だからこそ重苦しくなりすぎず、どこかしらギャグのニュアンスを含みながら進んでいく。

なんというか、「青春」というものと、それにまつわるものを、客観的に、あまりウェットになりすぎずにうまく捉えられていると思う。

「青春」や「学校」や「教室」といった枠組み、そういったものを「一時的でたいしたものじゃない」ことを自覚的に捉えながらも、当事者にとっては抜け出せない「全て」なんだという感覚を上手く表現できている。

何度も読み返そう、と思うような漫画ではないが、第一話から最終話まで一気にスルーっと読んでいける漫画だ。



懲役339年
全4巻

「転生」(生まれ変わり)が信じられている世界で、生まれた時から前世の罪で投獄されている主人公達を描いた作品。

ありそうで無かったような設定と独特の雰囲気。
1巻を読み終わったあたりでは、これはかつてないほどの名作なのでは?と、
社会の枠組みと世界観そのものと対立する主人公が最後にはどんな結末を迎えるのかワクワクした。

ただ、終盤に近付くにつれやや話の構造がスケールダウンしていったというか、収集のつけ方に意表をついたものは無かった。
大きなどんでん返しも無く、主人公達が目指した方向にきちんとうまく着地させていった感じだ。
ただその終わらせ方も含めてなお名作だとも思う。
1巻のラストと最終巻のエピローグの繋がりが好き。




スピリットサークル
全6巻

もはやマイナーと言ってもいいのか迷う。
読み終わった後に「アレ?6巻しかなかったっけ?」と思うくらい密度の高いストーリー。

各エピソードがそれぞれ独立したストーリーとして見ても面白いし、各所にちりばめられた伏線が綺麗にしっかり回収されていくところも素晴らしい。

本当にこの作者は物語の作り方が緻密だと思う。第一話の段階で最終話までの全ての話をあらかじめすべて書いてるんじゃないかと思うくらい。

何週も読み返したい。そして読み返すたびに新しい発見がある。

同作者の
「惑星のさみだれ」
「戦国妖狐」
も、もちろん名作。その他短編作品集を含めてそれぞれの作品間で微妙に世界設定がつながっているので全部読むとまた面白い。




………

はい。

こんな感じです。

特に「オーイ!とんぼ」と「異世界おじさん」と「スピリットサークル」あたりは是非とも多くの人に読んで欲しいと思う。





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