2018年1月24日水曜日

逃避行

無理だ!

膝が完治するまでおとなしくトレーニングだけしとこうと思ってたけどもう無理。

岩を登るってことはもれなくマントルがついてくるから、いつ右膝酷使するかわからんから岩は止めとこうと思ってたんだけどね。

やっぱ岩登りたい。

まあかなり寛解に向かっているし、強くヒールでかきこむような真似をしなければヘーキヘーキ、と自分を丸め込む。



東京にも雪が積もり、気温も今シーズン最低レベルである今日このごろ

その寒さから逃れるために南へ針路をとり、

行き先は

湯河原
 
初めての岩場というものはどうあれ心躍るものだ。

着いて早々思ったのは、

「あったかっ!」

もうね

「え?寒波?なんのこと?」

と言わんばかり。

雪の降った痕跡も皆無。

こりゃあ逃避先としては最高の場所を選んだな、と。

膝にもしっかりサポーターを仕込んだし、今日は楽しむぞ、と意気込む。


まず向かったのは駐車場から一番近い位置にある「米粒岩」

ここの「米粒(4級)」というスラブ課題がこのエリアのテストピース的な存在だと言うので、アップも兼ねてまずはこれからやることに。

初めての岩場来たら代表課題には挨拶しとかんとね。

で、

この課題。

けっこう悪い。

結局ね、完登までに30分くらいは費やしたと思う。

やっぱりスラブはグレード高かろうと低かろうと難しい。

一回登ったんだけどかなりゴリ押して登ったので、なんだか気が済まず、スマートな登りになるようにもう一度登ったんだけど、ムーブがピタっとはまると気持ちよく登ることが出来た。

ああ、これは名作だなあと。

気が済んだので、隣の「米櫃(4級)」も登る。これは、うん。登り易かった。顕著なホールドでガシガシ登っていける感じ。

しばらくその岩でぐだぐだした後、一番の人気岩である貝殻岩に移動。

これもエリアを代表する課題

「貴船(初段)」

をまず登る。



上部は右ヒール使ったほうが楽になるっぽいんだけど、必須ってわけじゃなさそうだったので爪先ののりこみでカバー。

うん、ヒールじゃなければ右足でのかきこみ、乗り込みもある程度できるくらいにはなっている。それでも足の負担を軽減するために腕でかなり引いているのでちょっと非効率的な感じはする。

この課題もさすがエリアの看板になるだけあって良課題。
登っていて楽しい!

ただ、思ったのは

(米粒のほうが難しいな)



そして


次に同じ岩の

「Wプロジェクト(二段)」



二段にしては簡単だと聞いていたんだけど、スタート~2手目くらいまでは結構悪かった。同じくらいの強度がもう2~3手続いていたらかなり難しかったんじゃないかな、と思う。
スタートの足位置決めにちょっともたついたものの、結果としては貴船と同じくらいのトライ数で登れた。右ヒールも使う必要なかったしね。

ただやっぱり

(米粒のほうが難しいな)

一応このWプロジェクトを今日のめあてとしていたので登れて良かった。

次に登るは

「パイプライン(初段)」



コイツは右ヒール必須っぽいのでやるのはやめておこうと思っていたけど、
とりあえずやってみて、右足への加重をゆるめに行い、痛みが少しでも出たら止めよう。とそういう姿勢でやってみた。
そんな風にやったからやっぱり途中でヒールが抜けたり色々ドタバタしたけどなんとか完登。
ある意味Wプロジェクトよりてこずったな。

でも

(米粒のほうが難しいな)

その後、貴船やパイプラインのより良いムーブ探ったりなんだりして貝殻岩にしばらく居たあとに、帰る直前にちょっと上の岩で「秋晴れ(初段)」やったんだけどなんかヨレて後半で落ちちゃって完登ならず。長めにレストすれば登れそうと思ったけど日も暮れかけてきたので撤収。

帰りに海鮮丼をかっ食らい帰宅!


膝の調子は思ったより悪くない、というのが判明したし、湯河原は冬でもかなり登り易いということが解ったし、やっぱり岩登りは楽しいということを再確認する。

そんな一日だった。

2018年1月6日土曜日

鍛錬の年2018年


流れが悪い。

ゲームだったり、ギャンブルだったり、競技だったり、

そういった【勝負事】において、確実に

『流れ』

といったものは存在している。

それはオカルトや精神論で片付けられるようなものでなく、

「風が吹けば桶屋が儲かる」的な、あるいは「バタフライエフェクト」的な意味で、

自分や相手のプレイングや姿勢が全体の流れを作り、最終的に自分達に運や偶然のように見える形をとって返ってくるものだと僕は思う。

そういった意味で、

勝負事の中でほど明確な形は取らないけども、

もっと大きく「生活」あるいは「人生」の中にも『流れ』は確実に存在していて、

その『流れ』の悪さを漠然と年明けくらいから感じ続けていた。


そして今日、

その流れの悪さがついに具体性を帯びた事態を引き起こした。


右ひざの負傷。

これはもう経験から完全に解るんだけど、

外側側副靭帯損傷で間違いない。

同様の怪我をもう過去に右ひざで1回、左ひざで2回やっていて、半分クセみたいになっているのかもしれない。

これも経験から解るんだけど、今回の程度だとまず

歩行は問題ない。

日常生活に支障は無い。

仕事も出来る。

直登系の課題を登ることも出来る。

ただ、

右でヒールするのは今後1ヶ月は厳しい。

正体で右にかきこんだり乗り込んだりも難しい。

要は、ひざに横方向の力が強く加わるような動きは暫くしたくない。

そんなもんだと思う。まあ重症ではない。

ただ、経験というものは時に客観的な視点に対して強いバイアスをかけることもあるのであまり過信しないようにして、暫くはしっかり様子を見よう。


こういうふうに怪我をした時に、

「もう年だからな」

なんていう風にだけは思わないようにしている。

若くたって怪我はするときはするし、

自分より年上で怪我をまったくしない人だって居る。

怪我の直接的な原因はいつだって年齢以外のところにある。
(遠因のひとつとして年齢があることは認めつつ)

今回の場合は完全に自分の不注意だった。


神戸の驟雨をそろそろ登ろうとやっていたんだけど、

僕の場合は一手目で右手ピンチを取って、二手目で左方向のポケットにめがけて出していくっていう選択をしていた。

二手目を取る時に右足ヒールをしっかりかけてそれで体重を保持するとスタティックに取れるのでそのムーブを採用していた。

ただそのムーブは右足にほぼ全体重を預けるため(だからこそ手が楽になるんだけど)膝に強い負担がかかることは解っていた。

なので朝イチでしっかり膝のストレッチと体操をやってはいたんだけど、

その後ランジの練習や指のアップなどをひとしきりやり終えてから、

「さあじゃあ繋げてみるか」

となった時、下半身は逆にすっかりまた冷え切ってしまっていた。

結果、

ヒールに体重が乗り切った瞬間に、右ひざから「パカッ」だか「ポコッ」だかいう乾いた音が聞こえ、慌てて着地した。

油断があった。

精神的に雑だった。

そこでまたもう一度膝に気を使ってやるべきだった。

自分の膝はそのムーブで怪我をしやすいってことをもっと考えておくべきだった。

そういう意味で、

この怪我は「謂れの無い不運」ではなく「自分のミスが引き起こした失態」だ。


もっと言うと、

この年始ずっと自分はだらけていた

やはり年末に目標を達成してしまっていたことで多少気が緩んでいたのだと思う。

そのだらけが生活の上でも流れの悪さとしてなんとなく現れていた。

今日だってなんだか気合いが入っていなかった。

岩に行くっていうのになんだか気分はぼんやりとしていて、

「ちょっと適当に登って適当に帰るか」

くらいの気分だった。

だらけている。

ふざけている。


岩を登るなんてね、もともとは命がけの行為だよ。

発達した道具に助けられて無傷でいることに慣れ、危機感を失っていた。

むしろ良かったよ今回、こんな小さな怪我で済んで。

この流れのまま進んでいたらどこかで命にかかわるような怪我をしていたかもしれない。

この怪我は戒めだ。

「ここからまた気を引き締めろ」という。


そしてまたいい機会でもある。

最近は「課題に打ち込む」ことに注力しすぎていて、

「フィジカルの向上」「保持力の向上」のためのトレーニングに目を向けられずにいた。

どの道、オロチを登るためには基礎能力の向上が不可欠だと思っていたので、

今シーズンはもう課題を追うのは止め、トレーニング期ということにしよう。

膝がしっかり実践レベルに戻るまでたぶん2ヶ月くらい。

その期間で「怪我をして逆に良かった」と思えるくらいレベルアップしよう。


というわけで、

今年は

鍛錬の年

とする。