自分は結構
「足を残す」こと
「足に力を入れる」こと
にこだわりを強く持っているほうだと思う。
そのこだわりのうちにシューズももちろん含まれている。
なんだかんだでシューズの性能は足の残りに直結するし、
自身の足捌きの技術向上にも影響を与えてくれる。
ということで、たまにはシューズの話でも。
まず、今まで自分が履いてきたシューズ遍歴は時系列順に並べると以下の通り。
X-RAY(5.10)※廃番
ミウラーVS(SP)
パイソン(SP)
ミウラーVS(SP)
スピードスター(SP)※廃番
チーム5.10(5.10)
ベイパー(SP)※廃番
レイヴン(ED)
スピードスター(SP)※廃番
コブラ(SP)
ミウラーW's(SP)
コブラ(SP)
パイソン(SP)
インスティンクトVS(SC)
フューチュラ(SP)
ドラゴン(5.10)
ミウラーVS W's(SP)
チーム5.10(5.10)
ミウラーW's(SP)
フューチュラ(SP)
スクワマ(SP)
ソリューション(SP)
フューチュラ(SP)チームvxi(5.10)
()内はメーカー
【SP=スポルティバ、SC=スカルパ、ED=エーデルリッド】
多分あと何足か履いてると思うけど、大体こんな感じ。
(複数回名前が挙がっているものはその数だけ買いなおしている靴)
赤字が現役で使っている靴。それ以外は破損により廃棄。
改めて振り返ると、明らかなスポルティバ偏重。
理由はいろいろあるけど、その中でも大きな理由としてあるのはヒール性能だと思う。
やはりヒール性能だけは(足型が合っているというのもあるが)スポルティバが他の追随を許さない感がある。
そしてヒールフックに関してはどうしても靴の性能がダイレクトに影響してくる。
大体自分のこのスポルティバ信者っぷりは、
どこにでも一定数居る5.10の「ステルス信者」との対立を生む(笑。
まあ僕もステルスの良さはわかる。実際5.10の靴も履いているし。
でもステルスはすべてを解決する魔法のソールってわけじゃないとも思う。
シューズについて考える時に一番重視するべきポイントはどこだ?
と問われたときに「ソールのフリクション」と答える人は多い。
そういう人は大抵ステルス信者だ(偏見)
僕は重視すべきポイントは「全体のバランス」だと思っている。
ここで言う「全体のバランス」っていうのは、
平均的にすべての能力を兼ねそえているとかそういうことじゃなくて、
靴全体が統一された意思の元にしっかりまとまっているかということ。
コンセプトにブレがあるようなシューズはどこかちぐはぐな部分をどうしても持っていて、部分部分の要素で見れば優れた性能であるはずなのに、実際にはいまひとつ性能を発揮できないシューズになっていたりする。
よく
「ソリューションにステルスHF貼ればサイキョーの靴ができる!」
というようなことを言う人が居るし、実際にそれをやっている人も居ると思う。
僕も実際スポルティバがステルスソールを使って靴を作ったらどんな靴が出来上がるか非常に興味がある。多分かなり良い靴が出来るだろうとも思う。
でもソリューションにステルスHFを貼っても最強の靴にはならないと思う。
なぜなら全体のバランスが崩れるから。
なんだかんだ言ってソリューションはビブラムXSgrip2で最大の性能を発揮するように設計されているはず。
それを単にフリクションの数値的な優劣のみでHFに貼りかえても、他の部分でバランスを崩してしまうはずだ。
実際僕は以前、パイソンにHFを貼ってみたことがある。
悪くは無かったが思ったほど良くも無かった。
スメアリング性能は上がったがエッジング性能は落ちたし、期待したかき込みの性能も、結局のところチーム5.10やドラゴンに匹敵するほどにはならなかった。
これだったら素直にチーム5.10を履けばいい、となって結局そのパイソンはウォーミングアップシューズのポジションを獲得するに至った。
当たり前の話だけど、チーム5.10やドラゴンのかき込み性能が優れているのは単にステルスの性能のおかげだけじゃなくて、そういう靴全体の設計だからだ。
5.10の靴が良い、というのは解るけど安易な「ステルス最強論」に帰結してしまうのはどうかな、と言いたい。
で、そういう思考停止ステルス信者に限って、ソールの汚れとか靴の保存状態とかに無頓着だったりするのだ(超偏見)
(大丈夫かなこれ敵作ったりしてないかなこれ)
いや別にね、ステルス否定派ってわけじゃないんですよ!
むしろステルスのフリクションの良さにはいつも大変助けられてますよ!
でもそれだけにね、その「フリクションの良さ」にただ感動して思考停止して無闇に頼ってしまうようなことがあっちゃ勿体無いですよってことを言いたいだけなんですよ!
せっかく素晴らしい性能を持ったソールなんだからそれをきちんと生かす方法をクライマー側もしっかり考えましょうよってことですよ!
と、一応フォローも入れておいたことだし、
以下は今まで自分が履いてきた靴たちに対する個別の感想をそれぞれ書き連ねていこうと思う。
それぞれ名前の前に記号で自分の心象をつける。
◎(めっちゃいい靴だと思う)
○(いい靴だと思う)
△(多分もう買わない)
×(人にも薦めない)
△X-RAY(5.10)※廃番
記念すべき1足目の靴。
二本ベルクロで足入れも良く、ソールはもちろんステルスなのでフリクションも申し分ない。
今で言うとローグがこれに近い。ローグよりは全体的に少し固めな印象。
初めての靴ということもあってサイズもかなり大きめで買ってしまったのでエッジング性能については特に弱く感じてしまった。
思い出補正もあり、結構気に入っている。◎ミウラーVS(SP)
どうしても外岩の細かいエッジが踏みたくて買った靴。
「エッジング性能」という点ではこの靴よりいい靴は未だに履いたことが無い。
ヒールフックの性能も抜群。この靴を履いてから暫く僕はすっかりなんでもかんでもヒールフックで解決しようとするヒールフック中毒になった。それくらい1足目のX-RAYとヒールフック性能の差が大きくて感動したものだった。
ただしトウフック性能は悲しいほど低い。
一番低い位置のベルクロの位置と素材がどうにもトウフックに向かない。
この点を改良しようと、一番下のベルクロを取り除き、そこにトウラバーを貼り付けているのを見かけ、自分もそういう改造をしようかと考えていた時期もあったが、しかしその3本目のベルクロこそが、エッジングして捉えた力をロスすることなく足の中心部に伝達するために重要な役割を果たしているということに、使っているうちに気づく。
トウフックがしたいならトウフックの得意な靴を履けばいいし、この靴を履くときはその驚異的なエッジング性能を頼りにしたいときに履くんだから、やはり改造はするべきじゃないなと思う。
X-RAYでどうしても登れなかった塩原の後悔(3級)桜(3級)が、この靴に変えたら登れてしまったときの感動は今でも忘れられない。
○パイソン(SP)
悪く言えば器用貧乏。良く言えば万能。
2足目の靴のオススメは?と聞かれればこれを挙げたいとも思う。
が、
難点を挙げるとすれば耐久性。
自分の使い方も関係しているけど、大体数ヶ月くらいでどこかがちぎれたりラバーが剥げてきたりする印象(※あくまでかなりハードに使い込んだ場合の話です)
極めつけは2足目だか3足目のパイソンを買った時に、買ってから3日目くらいで結構ハードなトウフックのムーブをしたら裂けて壊れたことがある。多分これは色んな偶然とかも重なった不運もあるんだろうけど、未だにそれを引きずっているのでしばらくパイソンを買うことは無いとは思う。
外岩でもそれなりの汎用性を発揮していて、豊田の縄文(e)や小川山のギガント(初段)など、なんだかんだでこの靴で登った初段も結構ある。
○スピードスター(SP)※廃番
なんとなく楽なシューズが欲しくなってまたリピートした時、印象がガラっと変わった。
ノーエッジシューズはクライマーを育てる靴だと思う。
しかしながら、ある程度育っているクライマーじゃないと育ててもらうこともできない。
1級くらいを登れたら是非一度履いてみてほしい。
はじめは多分気に入らないだろうけど、履いているうちにその良さにハマることができるはずだ。
ミウラーVSをはじめて履いたときは、「あ、足切れる」と思った時でも靴が足を残してくれている、という感覚を味わうことがかなりあってそれで感動していた。
スピードスターのようなノーエッジシューズにはそういった感動は無い。
逆に、「足を残そう」と強く思い働きかければまず残る。足が切れる瞬間の感覚がギリギリまで理解できる。少し慣れてくると、良くも悪くも想定外のことが起こりづらい。
他にも色々利点はあるがここでばかり書いているとあとでフューチュラのときに書くことが無くなるのでこのへんで。
このシューズに欠点らしいところがあるとすれば、スリッパタイプであることと、アッパーの足入れ部分がヨレやすいこと。ノーエッジの良さを理解したころにはもう結構脱げ易くなっちまってる。
この靴を履いていた当時は完全にジム用シューズと思っていたが、気まぐれに御岳に持っていった時に、チーム5.10やミウラーVSで上手く登れなかった勅使河原美加の半生(初段)がこの靴に履き替えた途端楽に登れたことを覚えている。
◎チーム5.10(5.10)
そう思うくらい足入れがとにかく悪い。というか自分の足型に合わない。痛い。
それでも評価◎なのはその性能がやはりズバぬけているから。
エッジング性能、スメアリング性能、トウフック性能、すべてが高いバランスで備わっている(ヒールフックはまあ及第点といった程度だが)。こんだけ良ければ多少の痛さは我慢するわ、と思わされてしまう。
河原にある、磨かれてツルツルとすべるチャート系の岩を登るときには欠かせないシューズ。
本当に細かいエッジも拾ってくれるし、剛性もそこそこあるのでその小さなエッジで身体を引き寄せることもできる。非常に繊細な要求に対応してくれる爪先を持っている。
岩場の岩質がチャートであるなら、持って行く靴は最悪これ一足あれば十分ではないかとすら思える完成度の高さだと思う。
自分のボルダリング人生の転機とも言える課題ファイア(三段)もこの靴に登らせてもらったし、宮川のホークアイ(三段+)や、最近ではタナトフォビア(四段)はこの靴が無くては登れる気がしなかった。
×ベイパー(SP)※廃番
これといって性能的に優れている点があるわけでもなく、かといって足入れがいいというわけでもない。
特徴として、たしか踵下部にクッションが入っていて、着地時の衝撃を軽減してくれる効果があるんだとか。うーん、マニアック。ノーマットスタイルで登る人くらいじゃないのかなその機能に利点を感じるのは。
これを履くんなら素直にコブラを履いたほうがいい。
○コブラ(SP)
ということで素直になった結果履いたコブラ。
今まで履いたシューズの中で最も履き心地がいい。足型が最高に自分に合う。
性能としてもほぼ申し分ない。
ただしほとんどダウントウしていないので、強傾斜でのかき込みなどでは楽できない。
ヒールフックやトウフックの性能が高いので、強傾斜では自然とフック系の技を多用することになる。
ジムでのトレーニングシューズにこれ以上の靴は無い!
この靴を一生履き続けよう!
と思ったことも無いではない。実際3足はコブラを買った。
しかし、
2足目のコブラ、購入3日後にハードなトウフックムーブによってアッパーが破れる。
この時は運悪くたまたま粗悪な一品にあたってしまったんだと諦めて次のシューズを買ったんだけど、次の3足目のコブラでも同様の悲劇が起こる。
パイソンでも同じことがあったんだけど、どうもコブラもパイソンもオレンジの革部分と黒いメッシュ部分をつなぐ縫い目の部分に強い力が加わると裂けやすいようだ。
そもそもその箇所に無理のある力を入れなければいいだけだし、偶然悪いロットに当たったんだという可能性もある。
でも同じことが3度もあるとさすがにもうコブラもパイソンも手を出すのに躊躇してしまう。
初めての三段である幻の光(三段)に打ち込んでいた時、ムーブの解決に役立ってくれた恩は忘れない(結局完登はコブラでではなかったけど)。
△レイヴン(ED)
当時「なんかマイナーなメーカーの靴を履いているのってかっこいいかもしれない」という気持ちで購入。
強烈なダウントウとターンイン。エッジング性能と剛性の強さで、小さいエッジを捉えて強く力を込めてもバネのように身体を持ち上げてくれる性能がある。
総合的に見てミウラーVSのマイナーチェンジ版といった印象。
悪い性能ではないんだけど、入手経路に難があるので、まあこれなら素直にミウラーVS履けばいいかな、といった感じ。
◎ミウラーW's(SP)
ヒール核心の課題でこの靴を履かないのはもう舐めプ以外の何ものでもない。
チート級と言っていいほどのヒールフックの性能。
ミウラーVSのヒール性能も驚嘆に値するレベルではあったが、
この靴がそれをあきらかに凌駕するかかりをする理由は恐らくゴムがビブラムXSgrip2
であるからだと思われる。
通常の黄色いミウラーとミウラーVSはビブラムXSedgeを採用しているが、エッジング時はXSedgeもXSgrip2もそれぞれにメリットデメリットがあると言える。しかしヒールフック時はあきらかにXSgrip2がいい。この若干の柔らかさが、もうひと粘りをしてくれて最後まで外れずにかかってくれるんだと思う。
この仮説が正しいか間違っているかはともかく、この靴のヒール性能が群を抜いて優れているのは確かだ。
それに加えて爪先の性能もハイレベル。エッジング性能はかなり高いし、スメアリング性能も悪くない。足裏感覚も良い。
みんな1足はこれを持っておくといい、と自信を持って言える。
ヒール核心の課題に苦しめられていたらこの靴を履くだけで体感0.5グレードは下がる。
岩質も花崗岩からチャートまで幅広く対応している。
自分の中で信頼度No.1シューズ。
LLTのニンギルス(四段)は未だに、自分では絶対にこの靴以外で登れないと思う。
幻の光(三段)カツオノエボシ(三段)あたりもこの靴のヒール性能によって登らせてもらったようなものだった。
◎インスティンクトVS(SC)
ヒール核心の課題でこの靴を履かないのはもう舐めプ以外の何ものでもない。
チート級と言っていいほどのヒールフックの性能。
ミウラーVSのヒール性能も驚嘆に値するレベルではあったが、
この靴がそれをあきらかに凌駕するかかりをする理由は恐らくゴムがビブラムXSgrip2
であるからだと思われる。
通常の黄色いミウラーとミウラーVSはビブラムXSedgeを採用しているが、エッジング時はXSedgeもXSgrip2もそれぞれにメリットデメリットがあると言える。しかしヒールフック時はあきらかにXSgrip2がいい。この若干の柔らかさが、もうひと粘りをしてくれて最後まで外れずにかかってくれるんだと思う。
この仮説が正しいか間違っているかはともかく、この靴のヒール性能が群を抜いて優れているのは確かだ。
それに加えて爪先の性能もハイレベル。エッジング性能はかなり高いし、スメアリング性能も悪くない。足裏感覚も良い。
みんな1足はこれを持っておくといい、と自信を持って言える。
ヒール核心の課題に苦しめられていたらこの靴を履くだけで体感0.5グレードは下がる。
岩質も花崗岩からチャートまで幅広く対応している。
自分の中で信頼度No.1シューズ。
LLTのニンギルス(四段)は未だに、自分では絶対にこの靴以外で登れないと思う。
幻の光(三段)カツオノエボシ(三段)あたりもこの靴のヒール性能によって登らせてもらったようなものだった。
◎インスティンクトVS(SC)
シューズについて考える時に一番重視するべきポイントは「全体のバランス」だと思っている。
というふうに前述したが、その全体のバランスということに関してこの靴はほぼ非の打ち所が無い。
ソールが硬いので最近のボリュームホールドやハリボテを多用するジム環境、あるいはチャート系の岩質ではうまくマッチしないこともあるかもしれない。
しかし、花崗岩や凝灰岩などの岩質においてはその硬さは抜群のエッジング性能を生む。
靴全体の一体感が高く、それが剛性を生むので微細なエッジを捉えて身体にしっかり力を伝える力がある。
ヒールフック・トウフック性能もかなりハイレベル。
固めのエッジングシューズという個性を損なうことなく万能性を獲得しているこのデザインは素晴らしい。
瑞垣や小川山に行くのなら、持って行く靴は最悪これ1足あれば十分かもしれない。
そして頑丈さ、という点も評価できる。
全体の作りがかなりしっかりしているので、よほどおかしな使い方をしない限り部分的に壊れたり変なところからはがれ始めたりがしにくい。ビブラムXSedgeのソールは外岩の粗く鋭いフットホールドに乗り続けても磨り減りづらい。
遠慮せずに酷使しやすいというところも便利屋っぽくていい。
豊田のきりきり舞い(二段)はこの靴の剛性とヒール・トウフック性能によってばっちり安定感が得られた。自分の中で最も難しい二段だと思っているハッパマシンガン(二段)もこの靴の性能に助けられている。
◎フューチュラ(SP)
履けば履くほど良いところが見えてくるシューズ。
ノーエッジシステムの良いところはスピードスターの項でも前述したが、フューチュラではスピードスターのほぼ唯一の欠点であるヨレやすさ、脱げやすさを克服している。
もうほぼ死角のない靴だ。
「エッジが無いから小さいホールドには乗れないんでしょう?」
違います。
そう思っている人は単にまだノーエッジでの小さいホールドの捉え方を知らないだけ。
捉え方さえわかってしまえば、小さいホールドでもかなりの安定感で捉えることができる。ハンパなエッジングシューズよりもむしろ安定感は増すとすら言える。
とはいえ、さすがにスラブでは不利が出る。
と、最近まで僕も思っていたけど、実際に色々試してみると、スラブですら行ける。
ただ柔らかいだけではなく、実は芯には結構剛性もあり、身体をしっかり支えてくれる。
なにより抜群の足裏感覚。どんな傾斜の壁を登っていたとしても、今の自分のバランスがどうなっているのか、足裏からの情報で把握することができる。
足裏感覚が良いって、それはソフトシューズ全般に言えることなんじゃないの?と言われるかもしれない。
足裏からの情報量は、ホールドとソールの接地面積の広さに比例する。
ノーエッジではもちろんエッジ有りにくらべて接地面積は広くなる。
つまりはそういうことです。
とにかく安定感がある。そして自分の意思が伝わる。
エッジのあるシューズでは再現できない様々な小技もある。
上手くなりたいのであればこの靴を履きなさい、と言いたい。
唯一の欠点は高額であること。
そのおかげで多くのクライマーから敬遠されているが、その質さえ理解すれば、決してコストパフォーマンスは低くないということをみんなにわかって貰いたい。
多彩な足技が要求されるハリガネムシ(二段)や、ミラルパ(三段)あたりがこの靴の性能とマッチしていた。以前戸河内にソロで行って初段~二段の課題を色々登った時はすべてこの靴でこなせてしまった。
○ドラゴン(5.10)
ドマイナーな課題だけど、三重県某所にあるかんぱち(初段)という課題のスタート時の極小フットホールドを、当時自分が持っていた靴の中で最も上手く捉えられたのはこの靴だった。さすがに爪先の力は凄まじいと思わされた。
◎ミウラーVS W's(SP)
ミウラーW'sとこちら、どちらを履くべきかは非常に迷うところ。
性能的にはかなり近しいが、エッジング性能に関しては若干こちらに軍配があがる。
かわりにヒールフック性能に関してはこちらが若干劣る。
その理由はどちらとも、この靴のダウントウの強さにある。
靴全体が大きく弓なりにダウントウしているため、エッジングの際の力の伝達力はやはり強い。
しかしその弓なり形によって、ヒール部が若干踵の下に向きやすくなっているため、ヒールフック時に大きな力を加えた時、若干脱げ易い。ヒールのかかり自体は抜群であるが故でもある。
LLTのニンギルスを登った際、この靴では右足が脱げてしまうということが何度かあった。
ミウラーW'sに履き替えたらそれは無かった。
単純に性能をプラスマイナスで合計するなら、ほぼ同等。どちらを選ぶかはほとんど好みの問題といってもいいかもしれない。
僕の場合は求める要素とか、手持ちのほかの靴との兼ね合いとかの関係で、今はミウラーW'sのほうを採用している。
初めての四段、ボブを登らせてくれたこの靴には心から感謝している。
○スクワマ(SP)
ソリューションやフューチュラと比較されることの多いこの靴だが、
僕はどちらかといえばパイソンと比較されるべき靴かと思う。
パイソンの柔らかさ、融通のききやすさを残しつつ(あるいは高めつつ)、エッジング性能、ヒールフック性能、トウフック性能に安定性を増している。
ただ、爪先のみエッジを立て、サイド部をノーエッジとしているこの処理はそれほど大きなメリットを持ってはいないと感じる。
それよりも、ノーエッジとエッジの境目あたりからソールが剥がれはじめやすいというデメリットのほうが目立つ。やはりあまり自然でない作りは無理を生じやすいということなのではないだろうか。
ヒールは最新のSヒールシステムという形状。このヒールに関しては可もなく不可もなくといったところだろうか。少なくともミウラー系統のヒールに勝るということは無い。
性能として特筆して悪い点は無いが、抜群に良い部分もあるわけではないという印象。
足入れは良く、履き心地も良いのでジムシューズとしては優秀。
だがやはり全体的に脆い感じがするので日々のトレーニングシューズとしては使いづらい感じもする。
この脆ささえなければ第一線で使い続けられる性能自体はあるが・・・
この靴はまだ「実験段階」なのではないかという気がする。
このスクワマの後継機がどうなるのかというのが楽しみなところ。
◎ソリューション(SP)
なんだかんだ言って超高性能。
どちらかといえば僕はこの靴は足型が合わない。
そして履き始めて暫くは(ノーエッジの抜群の足裏感覚に慣れていたのもあって)この靴の足裏感覚の無さにかなり戸惑うことになった。
正直言ってあまり好みの靴ではない。
ただ、好みとか好みじゃないとかいう問題じゃない領域で、やはり絶対的にこの靴は性能が高い。
独特のヒール形状は、たまに苦手なホールドがあるが、基本的には優秀。
エッジング性能、トウフック性能もかなりハイレベル。
車に喩えるなら、フューチュラはMT車、ソリューションはAT車といった印象。
フューチュラは自分で色々なところを気をつけなくてはいけないけど、自分の技術にしっかりと靴が応えてくれる。細かい調整を自分がすればそれをホールドに伝えることができる。
ソリューションはそういった細かい調整がしづらい。足裏からの情報量が乏しいので、どういった調整が必要なのかが感じ取りづらいというのもある。しかしソリューションの場合、そもそも自分で細かい調整などする必要が無い。ある程度適切な足の置き方さえしてしまえば、あとは勝手に靴のほうがやってくれる。
フューチュラは「自分の足で踏んでいる」感覚。
ソリューションは「靴が踏んでくれてる」感覚。
その、靴が踏んでくれている感覚がはじめのうちはイマイチしっくり来なかったが、履きなれてきてきて信頼感が増してくると、そのオートマチック感も楽で良いと感じる。
改めて、非常に高性能。
グレード更新の手助けになってくれる靴だと思う。
ただしそれゆえに危ういシューズでもあると思う。
爪先が独特の間合いを持っているというのもあり、まだ技術が育っていない時期からソリューションを履いてしまうと、ソリューション以外の靴では上手く登れなくなってしまうかもしれない。
最近ムタンテ(四段-)を登った時に、この靴のポテンシャルを思い知らされた。
-チームvxi(5.10)
自分の回りの強いクライマー達がこぞって絶賛するので購入。
うーん。
今のところあまり好きになれていない。
フリクションの良さ、足入れの良さ、履き心地の良さ、足裏感覚の良さ。
そのへんは理解できる。
が、自分のなかではフューチュラとチーム5.10に及ばない。
フューチュラは足裏感覚の良さに加えてそのなかに芯の強さがある。
チーム5.10は爪先の一点で掻きこめる形状の強さがある。
vxiはまあ、良くも悪くも「まるで裸足で登っているよう」。
強く踏み込んだとき、靴が負けてしまう感覚すらしっかりと伝わってくる。
そういえばこの靴を絶賛している身の回りのクライマーはみんなフィジカルモンスターだった。
腕の引きが強すぎて足から加重が抜け気味になり、強傾斜で足が切れがちの癖があるクライマーはすぐにこの靴のメリットを実感するんだろうと思う。
僕はどちらかといえば腕の引きの強さはあまり無く、足に強く加重をかけて登る癖のほうを持っているから、体重が浮いたときに抜けにくい粘りの良さよりも強く踏み込んだ時の頼りなさのほうが気になってしまう。
トウフック性能は今まで履いた靴の中でも1、2を争うほど良いと思う。
逆にヒールフック性能は今まで履いた靴の中でワースト1、2を争う。
まあ
この靴に関しては履き始めてからほとんど時間が経っていないので、まだ僕が良さに気づききれていないという可能性もある。
そういえばインスティンクトVSもその良さに本格的に気づき始めたのは履き始めてから半年以上経ってからだった。
この靴に関してはもう少し履きこむまで判断を保留したい。
・・・
ということで、こんな感じ。
最後にハッキリ言いたいのは、
これはあくまで僕の個人的な感想でしかないということ。
体格や足型や登りの癖やなんかで感じることは全然違うと思うし、僕が嫌いな靴を大好きだという人や、僕が大好きな靴をクソシューズと思う人も居ると思う。
「一番良いシューズってなんですか?」
みたいな質問をされることが最近ある。
その質問には正直、答えようがない。
一番良いシューズなんてものは存在しないからだ。
例えば「花崗岩の結晶に一番乗りやすい靴はなんですか?」とかならまだ答えようはあると思うが、
一番「良い」っていうのは多分無い。
自転車の種類なんかと一緒だと思う。
公道で一番速い自転車はロードバイクだろうし、オフロードを自在に走りたいのならMTBが一番良い。普段の買い物に使いたいのならそれらよりもママチャリのほうが断然使いやすい。
「一番良い自転車」なんて存在しない。
こういう道具の評価は、直線的に絶対値で表せる良い悪いがあるものじゃなくて、
自分が求めている要素にマッチしているかどうかが評価に繋がるんだと思う。
状況によって求められるものが違うからその分だけ道具の種類も増えるんだから。
上に並べたシューズたちも、
△とか×とかをつけたシューズは、僕の求める要素を持っていなかったというだけで、
◎とか○とかをつけたシューズは、僕の求める要素を持ってたというだけだ。
なので結局この評価も言わば「時価」のようなもので、
未熟な僕が浅い経験から抱く一時的な感想でしかない。
しかし、現状での自分のそれぞれのシューズへの思いを
忌憚無く、過不足無く述べられていると思う。
もし
次はどんなシューズを履こうか?
と悩んでいる人がこの駄文を少しでも参考にして、
そしてそのおかげで後悔しないシューズ選びが出来たと思ってくれれば幸いである。
というふうに前述したが、その全体のバランスということに関してこの靴はほぼ非の打ち所が無い。
ソールが硬いので最近のボリュームホールドやハリボテを多用するジム環境、あるいはチャート系の岩質ではうまくマッチしないこともあるかもしれない。
しかし、花崗岩や凝灰岩などの岩質においてはその硬さは抜群のエッジング性能を生む。
靴全体の一体感が高く、それが剛性を生むので微細なエッジを捉えて身体にしっかり力を伝える力がある。
ヒールフック・トウフック性能もかなりハイレベル。
固めのエッジングシューズという個性を損なうことなく万能性を獲得しているこのデザインは素晴らしい。
瑞垣や小川山に行くのなら、持って行く靴は最悪これ1足あれば十分かもしれない。
そして頑丈さ、という点も評価できる。
全体の作りがかなりしっかりしているので、よほどおかしな使い方をしない限り部分的に壊れたり変なところからはがれ始めたりがしにくい。ビブラムXSedgeのソールは外岩の粗く鋭いフットホールドに乗り続けても磨り減りづらい。
遠慮せずに酷使しやすいというところも便利屋っぽくていい。
豊田のきりきり舞い(二段)はこの靴の剛性とヒール・トウフック性能によってばっちり安定感が得られた。自分の中で最も難しい二段だと思っているハッパマシンガン(二段)もこの靴の性能に助けられている。
◎フューチュラ(SP)
履けば履くほど良いところが見えてくるシューズ。
ノーエッジシステムの良いところはスピードスターの項でも前述したが、フューチュラではスピードスターのほぼ唯一の欠点であるヨレやすさ、脱げやすさを克服している。
もうほぼ死角のない靴だ。
「エッジが無いから小さいホールドには乗れないんでしょう?」
違います。
そう思っている人は単にまだノーエッジでの小さいホールドの捉え方を知らないだけ。
捉え方さえわかってしまえば、小さいホールドでもかなりの安定感で捉えることができる。ハンパなエッジングシューズよりもむしろ安定感は増すとすら言える。
とはいえ、さすがにスラブでは不利が出る。
と、最近まで僕も思っていたけど、実際に色々試してみると、スラブですら行ける。
ただ柔らかいだけではなく、実は芯には結構剛性もあり、身体をしっかり支えてくれる。
なにより抜群の足裏感覚。どんな傾斜の壁を登っていたとしても、今の自分のバランスがどうなっているのか、足裏からの情報で把握することができる。
足裏感覚が良いって、それはソフトシューズ全般に言えることなんじゃないの?と言われるかもしれない。
足裏からの情報量は、ホールドとソールの接地面積の広さに比例する。
ノーエッジではもちろんエッジ有りにくらべて接地面積は広くなる。
つまりはそういうことです。
とにかく安定感がある。そして自分の意思が伝わる。
エッジのあるシューズでは再現できない様々な小技もある。
上手くなりたいのであればこの靴を履きなさい、と言いたい。
唯一の欠点は高額であること。
そのおかげで多くのクライマーから敬遠されているが、その質さえ理解すれば、決してコストパフォーマンスは低くないということをみんなにわかって貰いたい。
多彩な足技が要求されるハリガネムシ(二段)や、ミラルパ(三段)あたりがこの靴の性能とマッチしていた。以前戸河内にソロで行って初段~二段の課題を色々登った時はすべてこの靴でこなせてしまった。
○ドラゴン(5.10)
チーム5.10の性能に満足したころ、更なる掻きこみ力を求めて購入。
基本性能はやはりチーム5.10と似ている。チーム5.10のソールがステルスHFに変更されたことでその違いはさらに無くなって来たように思う。
レースアップである分、足入れはチーム5.10よりも良いが、結局紐を締める煩わしさはある。このへんは好みの問題もあると思う。
レースアップであるメリットとしての掻きこみ力の強化を期待していたのだが、その点でチーム5.10との大きな違いはそれほど感じなかった。そうである以上、トータルバランスと万能性に勝るチーム5.10のほうを僕は採用したい。
ドマイナーな課題だけど、三重県某所にあるかんぱち(初段)という課題のスタート時の極小フットホールドを、当時自分が持っていた靴の中で最も上手く捉えられたのはこの靴だった。さすがに爪先の力は凄まじいと思わされた。
◎ミウラーVS W's(SP)
ミウラーW'sとこちら、どちらを履くべきかは非常に迷うところ。
性能的にはかなり近しいが、エッジング性能に関しては若干こちらに軍配があがる。
かわりにヒールフック性能に関してはこちらが若干劣る。
その理由はどちらとも、この靴のダウントウの強さにある。
靴全体が大きく弓なりにダウントウしているため、エッジングの際の力の伝達力はやはり強い。
しかしその弓なり形によって、ヒール部が若干踵の下に向きやすくなっているため、ヒールフック時に大きな力を加えた時、若干脱げ易い。ヒールのかかり自体は抜群であるが故でもある。
LLTのニンギルスを登った際、この靴では右足が脱げてしまうということが何度かあった。
ミウラーW'sに履き替えたらそれは無かった。
単純に性能をプラスマイナスで合計するなら、ほぼ同等。どちらを選ぶかはほとんど好みの問題といってもいいかもしれない。
僕の場合は求める要素とか、手持ちのほかの靴との兼ね合いとかの関係で、今はミウラーW'sのほうを採用している。
初めての四段、ボブを登らせてくれたこの靴には心から感謝している。
○スクワマ(SP)
ソリューションやフューチュラと比較されることの多いこの靴だが、
僕はどちらかといえばパイソンと比較されるべき靴かと思う。
パイソンの柔らかさ、融通のききやすさを残しつつ(あるいは高めつつ)、エッジング性能、ヒールフック性能、トウフック性能に安定性を増している。
ただ、爪先のみエッジを立て、サイド部をノーエッジとしているこの処理はそれほど大きなメリットを持ってはいないと感じる。
それよりも、ノーエッジとエッジの境目あたりからソールが剥がれはじめやすいというデメリットのほうが目立つ。やはりあまり自然でない作りは無理を生じやすいということなのではないだろうか。
ヒールは最新のSヒールシステムという形状。このヒールに関しては可もなく不可もなくといったところだろうか。少なくともミウラー系統のヒールに勝るということは無い。
性能として特筆して悪い点は無いが、抜群に良い部分もあるわけではないという印象。
足入れは良く、履き心地も良いのでジムシューズとしては優秀。
だがやはり全体的に脆い感じがするので日々のトレーニングシューズとしては使いづらい感じもする。
この脆ささえなければ第一線で使い続けられる性能自体はあるが・・・
この靴はまだ「実験段階」なのではないかという気がする。
このスクワマの後継機がどうなるのかというのが楽しみなところ。
◎ソリューション(SP)
なんだかんだ言って超高性能。
どちらかといえば僕はこの靴は足型が合わない。
そして履き始めて暫くは(ノーエッジの抜群の足裏感覚に慣れていたのもあって)この靴の足裏感覚の無さにかなり戸惑うことになった。
正直言ってあまり好みの靴ではない。
ただ、好みとか好みじゃないとかいう問題じゃない領域で、やはり絶対的にこの靴は性能が高い。
独特のヒール形状は、たまに苦手なホールドがあるが、基本的には優秀。
エッジング性能、トウフック性能もかなりハイレベル。
車に喩えるなら、フューチュラはMT車、ソリューションはAT車といった印象。
フューチュラは自分で色々なところを気をつけなくてはいけないけど、自分の技術にしっかりと靴が応えてくれる。細かい調整を自分がすればそれをホールドに伝えることができる。
ソリューションはそういった細かい調整がしづらい。足裏からの情報量が乏しいので、どういった調整が必要なのかが感じ取りづらいというのもある。しかしソリューションの場合、そもそも自分で細かい調整などする必要が無い。ある程度適切な足の置き方さえしてしまえば、あとは勝手に靴のほうがやってくれる。
フューチュラは「自分の足で踏んでいる」感覚。
ソリューションは「靴が踏んでくれてる」感覚。
その、靴が踏んでくれている感覚がはじめのうちはイマイチしっくり来なかったが、履きなれてきてきて信頼感が増してくると、そのオートマチック感も楽で良いと感じる。
改めて、非常に高性能。
グレード更新の手助けになってくれる靴だと思う。
ただしそれゆえに危ういシューズでもあると思う。
爪先が独特の間合いを持っているというのもあり、まだ技術が育っていない時期からソリューションを履いてしまうと、ソリューション以外の靴では上手く登れなくなってしまうかもしれない。
最近ムタンテ(四段-)を登った時に、この靴のポテンシャルを思い知らされた。
-チームvxi(5.10)
自分の回りの強いクライマー達がこぞって絶賛するので購入。
うーん。
今のところあまり好きになれていない。
フリクションの良さ、足入れの良さ、履き心地の良さ、足裏感覚の良さ。
そのへんは理解できる。
が、自分のなかではフューチュラとチーム5.10に及ばない。
フューチュラは足裏感覚の良さに加えてそのなかに芯の強さがある。
チーム5.10は爪先の一点で掻きこめる形状の強さがある。
vxiはまあ、良くも悪くも「まるで裸足で登っているよう」。
強く踏み込んだとき、靴が負けてしまう感覚すらしっかりと伝わってくる。
そういえばこの靴を絶賛している身の回りのクライマーはみんなフィジカルモンスターだった。
腕の引きが強すぎて足から加重が抜け気味になり、強傾斜で足が切れがちの癖があるクライマーはすぐにこの靴のメリットを実感するんだろうと思う。
僕はどちらかといえば腕の引きの強さはあまり無く、足に強く加重をかけて登る癖のほうを持っているから、体重が浮いたときに抜けにくい粘りの良さよりも強く踏み込んだ時の頼りなさのほうが気になってしまう。
トウフック性能は今まで履いた靴の中でも1、2を争うほど良いと思う。
逆にヒールフック性能は今まで履いた靴の中でワースト1、2を争う。
まあ
この靴に関しては履き始めてからほとんど時間が経っていないので、まだ僕が良さに気づききれていないという可能性もある。
そういえばインスティンクトVSもその良さに本格的に気づき始めたのは履き始めてから半年以上経ってからだった。
この靴に関してはもう少し履きこむまで判断を保留したい。
・・・
ということで、こんな感じ。
最後にハッキリ言いたいのは、
これはあくまで僕の個人的な感想でしかないということ。
体格や足型や登りの癖やなんかで感じることは全然違うと思うし、僕が嫌いな靴を大好きだという人や、僕が大好きな靴をクソシューズと思う人も居ると思う。
「一番良いシューズってなんですか?」
みたいな質問をされることが最近ある。
その質問には正直、答えようがない。
一番良いシューズなんてものは存在しないからだ。
例えば「花崗岩の結晶に一番乗りやすい靴はなんですか?」とかならまだ答えようはあると思うが、
一番「良い」っていうのは多分無い。
自転車の種類なんかと一緒だと思う。
公道で一番速い自転車はロードバイクだろうし、オフロードを自在に走りたいのならMTBが一番良い。普段の買い物に使いたいのならそれらよりもママチャリのほうが断然使いやすい。
「一番良い自転車」なんて存在しない。
こういう道具の評価は、直線的に絶対値で表せる良い悪いがあるものじゃなくて、
自分が求めている要素にマッチしているかどうかが評価に繋がるんだと思う。
状況によって求められるものが違うからその分だけ道具の種類も増えるんだから。
上に並べたシューズたちも、
△とか×とかをつけたシューズは、僕の求める要素を持っていなかったというだけで、
◎とか○とかをつけたシューズは、僕の求める要素を持ってたというだけだ。
なので結局この評価も言わば「時価」のようなもので、
未熟な僕が浅い経験から抱く一時的な感想でしかない。
しかし、現状での自分のそれぞれのシューズへの思いを
忌憚無く、過不足無く述べられていると思う。
もし
次はどんなシューズを履こうか?
と悩んでいる人がこの駄文を少しでも参考にして、
そしてそのおかげで後悔しないシューズ選びが出来たと思ってくれれば幸いである。