2016年3月11日は、
僕の29回目の誕生日だった。
これくらいの歳になるともう「誕生日」というのは特に何か祝い事をするような日でもなく、
何人かの親しい間柄の人に
「おめでとう」と言われ「ありがとう」と返す、
挨拶の言葉が少し延長されるというだけの、
その他にはいつもの一日となんら変わりない日である。
はずだったのだけれど。
まさかこの
29歳の誕生日が、
四段クライマーとしての自分が誕生する日になるとは思わなかった。
以前、
ファイアを落として以来
ずっと通いつめ、打ち込み続けていた
ボブ(四段)
数えてみれば、今日で打ち込み始めてから延べ6日目だった。
これは長く掛かりすぎたと言えるのだろうか。
それともこの程度の期間で済んだと言えるのだろうか。
どちらとも言えるし、どちらとも言えない中途半端な期間だ。
初めて触ったときは、ホールドの細かさと手数の多さに気が遠くなった。
でも、とにかくやってみようと取り組み始めると、なんとか1日でムーブを半分ほどバラせた。
この時点では半信半疑以前だったけど、
出来そうだとか、出来なそうだとか、そういったことは考えずに打ち込むことに決めた。
2日目でムーブをバラすことには成功した。
慣れてくると、箇所箇所には「四段の強烈な一手」というのは見当たらなかった。
初段~二段相当の難度のムーブが延々と続くといった感じ。
そこからが長かった。
1箇所のムーブは難しくない。
前半と後半の二分割にバラせば出来る。
でもスタートから繋げようとすると必ずどこかで落ちる。
おまけに、一度打つだけで指とフィジカル(特に指皮)に強烈な負荷がかかり
一日でまともにトライできる回数は限られる。
出来そうで出来ない。
出来なさそうだけど出来そう。
でも、
やはり出来ない。
そんな感じの日々が続いた。
あまりに出来ないので、少しこの課題にうんざりする気持ちも芽生えてきた。
開き直ることにした。
出来るとか出来ないとかは関係ない。
「とにかく、やり続けよう」
そうしたらいつか何かの拍子に出来てしまう時が来るかもしれない。
その時が、たまたま今日だった。
何故今日だったのかはよくわからない。
たぶん、本当に「たまたま」今日だったんだと思う。
わからないけど、とにかく出来た。
偶然でもなんでも、登ることができた。
自信になった。
まあでも当たり前に、ここはまだ通過点。
今度は確信を持って、四段を落とせるように。
たまたまでもいいから、五段を落とせるように。
明日からまた、頑張ろう、新しい自分。
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